2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性腎疾患におけるスプライシング異常症発症機序の解明および新規治療法の開発
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19K08726
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野津 寛大 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (70362796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | splicing / RNA sequence / 核酸医薬 / アンチセンス治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性腎疾患を対象とし、スプライシング異常による疾患発症メカニズムの全容の解明およびスプライシング制御による治療法の開発を行っている。2020年度は以下の成果を得た。 1. Alport症候群における、COL4A5遺伝子のスプライシング変異を対象に、その重症度の比較を行った。その結果、スプライシング異常により3の倍数の塩基数の欠失群は、3の倍数でない塩基数の欠失(インフレーム変異)群に比較し有意に軽症であることを証明した(Kidney Int, 2020)。さらにその特性を生かし、重症の臨床像を呈し、COL4A5遺伝子にナンセンス変異を有する患者においては、エクソンスキッピング療法によりインフレーム変異へと置換する治療法を開発した。ナンセンス変異を有するAlport症候群モデルマウスに加療を行った結果、エクソンスキッピング療法により、臨床症状、組織所見ともに著明な改善を認め、さらに生存期間も有意に延長し、同治療法がAlport症候群に対し著効することを証明した(Nature Commun, 2020)。 2. 遺伝学的検査において、スプライシングコンセンサス配列外のイントロン内に変異を認めた場合、その病原性は不明である。今回私たちはDent病患者において検出されたCLCN5遺伝子のイントロン内変異がスプライシング異常をきたし、病原性を有することの証明に成功した(Clin Exp Nephrol, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、各疾患におけるスプライシング異常の関与に関して次々と明らかにしており、さらにその特性を用いた治療法の開発に着手しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、核酸医薬を用いた、慢性腎疾患に対する新規の治療法の開発を計画している。また病気のスプライシング異常の関与に関する研究として、Gitelman症候群、Fabry病、先天性ネフローゼにおいても着手している。
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Research Products
(13 results)