2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症メディエーターMRP8が腎炎進展に果たす役割の検討
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19K08728
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑原 孝成 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00393356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRP8 / 内因性リガンド / 糸球体腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は慢性炎症の一端を担う内因性リガンドMmyeloid-related protein 8 (MRP8)が腎炎進展に果たす役割を検討し、その機序を明かにすることを目的として行った。昨年度までに骨髄由来細胞特異的なMRP8の欠損が抗GBM腎炎モデルの糸球体病変を軽減することを明かにした(Hata Y, Kuwabara T. Sci Rep 2020)。さらにその一機序として、MRP8の欠損は単球-マクロファージ系細胞(および好中球)の表面マーカー Mincle発現を抑制する可能性が示唆された。これらの知見に基づいて、MRP8をターゲットとした治療を念頭とする検討を追加した。具体的にはすでにMRP8(およびMRP14)のペプチドワクチンの開発元である、大阪大学中神研究室との共同で、ペプチドワクチンによる治療効果の検討を行った。前年度までの検討はネフローゼ症候群を呈する糸球体腎炎モデルで行ってきたが、投与したペプチドワクチンの多量の尿中への漏出が大きく、治療効果の検討が困難と考えられたため、予備検討として急性腎障害モデルでの検討を行った。しかしながら予想に反して、ペプチドワクチン投与は腎障害を悪化させる結果であった。その理由を明らかにすべく、得られたサンプルを用いて検討を追加したところ、MRP8ワクチン投与により賦活化した細胞性免疫が腎障害を増悪させている可能性が考えられた。これらの知見は急性腎障害におけるMRP8の役割の重要性を示唆するものであり、今後の新しい計画に活かしていく。 また、当初の計画通り、透析患者における血中MRP8/14濃度の臨床的意義についても検討を行った。高P血症を呈する患者において血清MRP8/14高値は透析患者の生命予後悪化と有意な関連を示すことを報告した(Kanki T, Kuwabara T. BMC Nephrol 2020)。
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Research Products
(11 results)