2021 Fiscal Year Annual Research Report
アリル炭化水素受容体リガンドによる糖尿病性潰瘍の治療効果
Project/Area Number |
19K08795
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
内 博史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 皮膚科医長 (50437787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / JNK / indirubin / pregnane X receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では慢性創傷の治癒を促進する化合物の発見を目的とした。これまでにIncuCyteを用いたin vitroでの創傷治癒モデルによるスクリーニングシステムを既に確立している。そこで同システムを用いてアリル炭化水素受容体(AHR)のリガンドとして作用する化合物をスクリーニングしたところ、藍の色素であるインジゴの異性体indirubinに濃度依存的な創傷治癒促進効果を認めた。indirubinは表皮ケラチノサイトの細胞増殖に有意な影響を与えなかった。またindirubinのIncuCyteにおける創傷治癒促進作用はマイトマイシンCによる処理では阻害できなかったが、アクチン重合阻害剤であるサイトカラシン処理では完全に阻害されたことから、indirubinは細胞遊走作用を増強することで、創傷治癒を促進していると考えられた。さらに細胞遊走に関わるシグナル経路について検討を行ったところ、indirubinはケラチノサイトのJNK/c-jun経路を活性化し、JNKの特異的阻害薬であるSP600125によりindirubin誘導性のJNK, c-junのリン酸化が抑制された。またIncuCyteによる創傷治癒モデルにおいて、indirubinによる創傷治癒促進効果がSP600125により阻害されることが明らかになった。In vivoの検討ではBALB/cマウスの背部に全身麻酔下に直径6mmの皮膚欠損創を作成し、indirubinとコントロールであるDMSOの外用による創傷治癒作用を比較したところ、indirubin群で有意に創閉鎖までの期間が短縮された。IndirubinはAHRのほかにpregnane X receptor (PXR)にも結合する。特異阻害剤あるいはsiRNAを用いた検討で、indirubinはAHRではなくPXRを介して創傷治癒促進作用を発揮することが明らかになった。
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