2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄増殖性腫瘍とその二次性白血病におけるinitiating変異の同定と機能解析
Project/Area Number |
19K08835
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牛島 洋子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60755552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性腫瘍 / 急性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄増殖性腫瘍(MPN)から転化した二次性急性骨髄性白血病(sAML)におけるinitiating変異の候補とした3つの遺伝子(転写活性化因子ZNF143、クロマチンリモデリング複合体のサブユニットSMARCC2、ユビキチンリガーゼUBR4)における変異は、2020年度までの臨床検体を用いた解析において1症例以外ではいずれも認められなかった。そのため、計画を変更し、ZNF143、SMARCC2、UBR4における変異遺伝子機能解析については既施行のmRNAでの発現解析にとどめ、本研究の発端となった症例におけるクローン進展について解析をさらに進めた。当該症例の完全寛解期骨髄検体を用い、正常造血幹細胞および残存する白血病幹細胞が存在すると考えられるlineageマーカー陰性CD34陽性CD38陰性分画において、sAMLにおいて認められたZNF143、SMARCC2、UBR4、JAK2、TP53各遺伝子における変異を2020年度までに確立したNGSを用いた手法により解析した。また、同分画における単一細胞での各変異解析におけるPCR条件について検討し、より多くの細胞検体においてnested-PCR法を用いずに単回PCR法にて改めて解析した。同分画におけるNGS解析での各遺伝子変異頻度と単一細胞における変異解析での変異頻度はほぼ合致した。単一細胞における変異解析結果より、JAK2変異を有するMPNクローンの多数はZNF143、SMARCC2、UBR4変異を有するがいずれも有さないクローンが少数存在すること、TP53変異を有するAMLクローンは3変異の少なくともいずれかを有することが明らかとなった。MPNではそのクローン進展の過程ではJAK2変異が複数のクローンに別個に生じ多様なクローンが存在していること、その一部がsAMLに進展することを示す結果であると考えられた。
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