2019 Fiscal Year Research-status Report
TALEN-mediated genome editing facilitates establishing universal genome-edited regulatory T cells for immunotherapy
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19K08838
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川瀬 孝和 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30463194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たながん免疫療法、造血幹細胞移植後の再発の際の治療、あるいは再発予防の手段としてT細胞受容体(T-cell receptor, TCR)導入T細胞(TCR-T)の開発が行われているが、より安全で有効性の高いTCR-Tを作出するためには多くの課題が残されている。特に、内在性のTCRサブユニットと導入したTCRサブユニットのミスペアリングは、有害な免疫学的事象のリスクに関与し得るため、その回避を可能とする技術の開発が強く求められている。すでにTALENを用いたターゲットゲノム編集により内在性のT細胞受容体(TCR)をノックアウトしたT細胞に、所望の抗原に特異的なTCRの遺伝子を高効率に導入する新規技術の開発に成功しているが、これまでは、内在性のTCRのノックアウトと所望のTCRの導入に多段階のステップが必要であり、作出したTCR-Tのバイアビリティが低いことが問題となっていた。本年は、実際のTCR-T製剤作出への応用を想定し、細胞のバイアビリティ低下を最小限に留め、できるだけ少ないステップ数で内在性のTCRをノックアウトし目的のTCR遺伝子をノックインするための方法を検討した。TRB遺伝子のC領域配列を標的としたP-TALEN mRNAを用いてTCRβをノックアウトしたのち、TRA遺伝子のC領域配列を標的としたP-TALEN mRNAを用いてTCRαをノックアウトすると同時に、P-TALENによるゲノム切断部位にオン・ターゲットでドナー遺伝子を導入することにより、2ステップで従来よりバイアビリティの高いTCR-Tを作出することが可能であった。また、TRA遺伝子C領域切断部位にオン・ターゲットでドナー遺伝子が導入されていることを、サンガーシークエンスおよび、次世代シークエンサーによるアンプリコンシークエンスで確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、様々な方法を比較検討し、従来より少ないステップでの遺伝子のノックアウトとノックインにより、従来に比べバイアビリティの高い遺伝子編集T細胞を作出することが可能となった。また遺伝子がオンターゲットで正確に導入されていることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
TALENによるTCR遺伝子ノックアウトの際のオフターゲット効果を評価し、本方法でより安全にゲノム編集T細胞の作出が可能なことを確認するとともに、遺伝子導入ベクターやTALENをさらに改良してよりバイアビリティの高いゲノム編集T細胞の作出方法を検討する。さらに、本方法をもちいて、安全で高効率な抗原特異的ゲノム編集制御性T細胞を作出する方法を検討する。
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Causes of Carryover |
超低温フリーザー等の設備品、実験試薬、実験器具等の購入予定が次年度となったため。また、新型コロナウイルスの流行により研究打ち合わせの一部、研究発表の一部がやむをえず中止となったため。
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[Presentation] TALENによるゲノム編集技術を用いた内在TCR遺伝子のノックアウト及び目的遺伝子の導入2020
Author(s)
長谷川 七穂, 川瀬 孝和, 吉田 奈央, 本庶 仁子, 土石川 佳世, 美山 貴彦, 佐藤 寛之, 鈴木 隆二, 佐久間 哲史, 山本 卓, 一戸 辰夫
Organizer
第42回日本造血幹細胞移植学会総会
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