2022 Fiscal Year Annual Research Report
局所性アレルギー性鼻炎に関わるIgEクラススイッチ機序の解明と治療への展開
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19K08879
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
板澤 寿子 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70361970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 雄一 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (80184191) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 局所性アレルギー性鼻炎 / アトピー型アレルギー性鼻炎 / IgE / IL-25 / IL-33 / TSLP / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度までに、ヒト末梢血から分離したナイーブB細胞を用いて、クラススイッチ組み換え(Class switch recombination: CSR)の役割を持つBAFF(B cell activating factor of TNF family)とIL-4の存在下で、ネコ皮屑抗原の共培養によってIgE産生が増加する培養系を確立した。2021年度~2022年度は、セリンプロテアーゼであるカリクレイン、あるいは、プロテアーゼインヒビターを用いて、このIgEのCSRがプロテアーゼ活性による影響であるかを評価することを目指したが、細胞培養の条件が確立できず、検討ができなかった。 また、2022年度は、アレルギー性鼻炎(AR)における2型炎症反応に関与する上皮由来サイトカインであるIL-25、IL-33、TSLP(thymic stromal lymphopoietin)の役割を検討するため、アトピー型AR、局所性AR、非ARの患者の鼻汁および血清の上皮由来サイトカインを測定した。まず、アトピー型ARの6歳以上の小児患者20例を対象に鼻汁と血清のIL-25、IL-33、TSLP濃度と鼻炎症状の重症度の関係を評価した。その結果、重症・最重症患者(12例)の鼻汁IL-25濃度は、軽症・中等症患者(8例)に比較し有意な上昇が認められた(p<0.05)。しかし、鼻汁のIL-33、TSLP濃度、鼻汁好酸球、血清のIL-25、IL-33、TSLP濃度、末梢血好酸球数は、重症・最重症患者と軽症・中等症患者には有意差は認められなかった。以上より、鼻汁IL-25濃度は、アトピー型AR患者の鼻炎症状の重症度を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。局所性AR、非AR患者については、検体数が十分でなく比較は行えなかったが、さらに症例を蓄積し診断および病勢のバイオマーカーの探索を継続する。
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