2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of therapeutic target molecular pathway by understanding tripli negative breast cancer and functional RNA integration
Project/Area Number |
19K09049
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
戸田 洋子 藤田医科大学, 医学部, 助教 (90814301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 吉陽 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (20725733)
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
喜島 祐子 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60381175)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | miR-101-5p / GINS1 / miR-99a-5p / miR-99a-3p / FAM64A / 乳癌 / トリプルネガティブ乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体におけるmicroRNA発現解析を起点として、乳癌の原因遺伝子、治療標的遺伝子の探索を行っている。悪性度の高いトリプルネガティブ(TN)乳癌でmiR-204-5pが癌抑制に働くことを明らかにし、その下流で治療標的分子と成りうるAP1S3を見出し報告した(J Hum Genet. 2018 Dec;63(12):1197-1210)。 この研究手法を踏襲し、乳癌全体におけるmicroRNAプロファイルで未解析であったmiR-101-5pを起点として下流に位置する104の癌促進型遺伝子候補を同定した。その中で、7種の遺伝子(HMGB3、ESRP1、GINS1、TPD52、SRPK1、VANGL1、MAGOHB)の発現は、乳癌患者の予後に影響を与えていた。この中で、DNA複製に関与するGINS1に着目し、その発現が独立した予後予測因子であること、乳癌細胞の悪性化に関与している事を明らかとし、報告した(Mol Oncol. 2020 Feb; 14(2): 426-446.)。 さらにmiR-99a-5pおよびmiR-99a-3pに癌抑制機能があることを明らかにした上で、その下流を検索し、乳癌患者の予後因子と成りうる16個の遺伝子(C5orf22、YOD1、SLBP、F11R、C12orf49、SRPK1、ZNF250、ZNF695、CDK1、DNMT3B、TRIM25、MCM4、CDKN3、PRPS、FAM64A、およびDESI2)を見出し、中でも両microRNAの標的であったFAM64AはLuminalAとLuminalBとでは有意差をもって発現が異なることを明らかにし、乳癌の悪性度と関連する遺伝子であることを明らかにし報告した(J Hum Genet 2021 May;66(5):519-534.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定ではTN乳癌に限定して探索を行う方針であったが、各データベースと整合性をもってより広く乳癌の悪性度と関連する遺伝子を検索するために、一旦乳癌全体にターゲットを拡大した。そのことによって、有力な解析候補と成りうる遺伝子が多数見いだされ研究は進展した。一方で、見出された乳癌の悪性度に関与する分子経路を遮断する戦略の考案には未だ至っておらず、既存の「薬」で、分子経路の遮断が可能か、ドラッグ・リポジションの戦略を考案する予定であったが、現状は未着手の状態である。 また、TN乳癌の治療抵抗性患者エクソソーム由来のRNA抽出については、初期治療後に再発・遠隔転移を有するTNBC患者の血液から、エクソソームを分離し、エクソソーム中に存在するマイクロRNAのプロファイル作成を進める予定であったが、検証に耐えうる精度の高いRNA抽出及びサンプル収集に難渋し、プロファイル完成に至っていない。現在実験方法の見直し及び対象患者の再選別を行っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
乳癌、TN乳癌に特徴的な癌促進・治療抵抗性分子経路の探索は継続するとともに、これまでの解析で明らかとなった、乳癌で活性化している分子経路を遮断する戦略を考案することに注力する。一例としては、既存の「薬」で、分子経路の遮断が可能か、ドラッグ・リポジションの戦略を考案し検証を進める。 TN乳癌治療抵抗性患者エクソソーム由来・機能性RNA発現プロファイルの作成に関しては、再度実験手法の見直しを行う。また、対象患者の選別に関しては鹿児島大学のみならず、共同研究を行っている藤田医科大学でのサンプル収集を図る。 研究を遂行する上での課題としては、申請者が藤田医科大学に異動となったため、直接の実験実施が困難となった点が挙げられる。当初一定期間ごとに鹿児島での実験指導やミーティングを予定していたが、現状困難となっている。細胞実験等は鹿児島にて共同研究者に実施していただき、藤田医科大学ではサンプル収集に注力する等役割分担を行うことで研究を推進すべく努める方針である。
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Causes of Carryover |
申請者が共同研究施設である藤田医科大学に異動したため、当初鹿児島大学で実施予定であった実験が十分に進められず、抗体等の試薬購入や解析依頼が当該年度に終了しなかったため。また、県をまたいでの移動が制限される中で、交通費の支出がほぼゼロとなったため。 次年度は鹿児島大学にて実験助手等人員の支援をいただくとともに、共同研究者も新たに加わり、今年度の遅れを取り戻すべく実験計画の再策定を既に終了し、実験を進めている段階である。
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Research Products
(5 results)