2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来免疫抑制細胞を標的とした放射線治療抵抗性の制御メカニズムの解明
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19K09071
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東島 潤 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (30467815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 秀也 徳島大学, 病院, 助教 (10548738)
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
徳永 卓哉 徳島大学, 病院, 特任准教授 (30448328)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
西 正暁 徳島大学, 病院, 助教 (70464344)
高須 千絵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (70582823)
吉川 幸造 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80448331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CRT / 直腸癌 / SDF-1 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
化学放射線療法(CRT)は進行下部直腸癌患者に対し、局所腫瘍制御及び生存率向上、括約筋温存のための治療手段として広く用いられているが、進行下部直腸癌患者におけるCRT後の根治手術後の遠隔転移率は15%~20%と報告されている。再発リスクの高い患者を選別し、個別化治療を可能にするためには新たなバイオマーカーが必要であり、我々はStromal cell-derived factor-1(SDF-1)に着目した。 SDF-1はCXCケモカインの一種であり CXC motif chemokine ligand-12(CXCL12)としても知られている。これまでにSDF-1の発現は癌の進行度と相関し、予後のバイオマーカーとして有用であることが報告されているが、我々は進行下部直腸癌患者におけるCRT抵抗性と予後に対するSDF-1発現の意義を明らかにした。方法として、術前CRTを施行した進行下部直腸癌患者98名について評価した。全例が40Gyの放射線療法と同時にフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法を施行され、その後に根治的外科的切除が施行された。手術標本におけるSDF-1の発現を免疫組織化学的に検討し、患者をSDF-1陽性群(n=52)とSDF-1陰性群(n=46)に分け、臨床病理学的因子と生存率を比較した。その結果、SDF-1陽性群はSDF-1陰性群に比べCRTに抵抗性であった(非奏功率、それぞれ63.5% vs 47.8% ; p=0.12)。SDF-1陽性群の全生存期間(OS)はSDF-1陰性群に比べ有意に不良であり(5年OS、73.4% vs. 88.0%;p=0.02)、無病生存期間(DFS)も不良であった(5年DFS、61.0% vs. 74.1%;p=0.07 )。多変量解析では、SDF-1発現がOSの有意な独立予後予測因子であることが確認された(p=0.04)。 以上の結果より、直腸癌におけるSDF-1高発現はCRT抵抗性および術後再発と相関し、OSの独立予後規定因子であり、今後進行下部直腸癌患者の予後不良のバイオマーカーとして期待される。
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Research Products
(1 results)