2019 Fiscal Year Research-status Report
肝筋相関からみたサルコペニアが肝再生に及ぼす影響の分子機序解明
Project/Area Number |
19K09163
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
新木 健一郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60431706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播本 憲史 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (00419582)
久保 憲生 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10464744)
塚越 真梨子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60781317)
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サルコペニア / 肝切除 / 肝再生 / PGC-1αマウス / 分岐鎖アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
PGC-1αマウスは骨格筋特異的にPGC-1α(peroxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1α)を過剰発現させたトランスジェニックマウスである。骨格筋における速筋(白筋:typeⅡB線維)の遅筋(赤筋:typeI線維)化、ミトコンドリアの過剰発現を認める。加齢が進むと筋委縮(特にTypeⅡB繊維)を認め、TypeⅡB繊維を主として萎縮を認めるサルコペニアとその病態が類似する。当研究室においてPGC-1αマウスの安定的な飼育ラインを確立した。25週齢で正常マウスと比較し著明な筋萎縮を認めた。 このPGC-1αマウスおよび正常マウスを用いて2/3肝切除モデルを作成し、術後に体重測定を行った後にマウスの肝および血液を採取、肝再生の評価を行った。いずれのマウスでも著明な速筋群(腓腹筋)の萎縮を認めるが、肝重量の減少は認めなかった。肝切除を行うと、Day1-7でPGC1αマウスの有意な肝再生の抑制効果を認めた。どちらのマウス群もday2でBrdU取り込みのピークを迎えたが、PGC1αマウスではday2におけるBrdU取り込みの有意な抑制を認めた。 アミノ酸の血中濃度を測定し、day2では分岐鎖アミノ酸(VAL.LEU,ILE)において、PGC1αマウスで有意な血中濃度の低下を認めた。その他、PRO、LYS、PHEでday2における血中濃度の低下を認めた。またday2において、分岐鎖アミノ酸(VAL.LEU,ILE)血中濃度と肝再生率、術後肝重量の有意な相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にもとづき、以下の点で成果が得られており、順調に進展していると考えている。 ①トランスジェニックマウスの安定的な飼育状況が整ったこと。②肝切除モデルにおいて、サルコペニアマウスで有意な肝再生抑制が認められたこと。③その肝再生抑制には、分岐鎖アミノ酸の血中濃度が関与していたこと。 よって、以上の分子機序解明についても引き続き検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
PGC1αマウスにおける肝再生抑制の分子機序を解明するため、以下について研究推進を図る。 1.分枝鎖アミノ酸補充療法を行い、マウスの肝再生へ与える影響について検討する。 2.マウスの血清サンプルを用いてmiRNA、各種マイオカイン(SPARC, FGF-21, アディポネクチン, アイリシンなど)の評価、アンモニア代謝の評価(アンモニアやL-カルニチン)を測定、インスリン抵抗性の評価(PPARγ、アディポネクチンやIL-6、TNF-α)を行い肝再生へ与える影響について検討する。 3.マウス凍結肝組織サンプルを用いて、肝再生に与える各種シグナル蛋白について検討する。
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