2020 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹膜播種における脂質代謝変容の解明と標的治療への応用
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19K09166
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木下 淳 金沢大学, 附属病院, 助教 (90584855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 真市 金沢大学, 医学系, 准教授 (90272955)
伏田 幸夫 金沢大学, 医学系, 准教授 (10301194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腹膜播種 / CD36 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討において、各種胃癌細胞株のCD36発現は非常に低率である事がわかったため、本年度は、胃癌細胞株(MKN45)にCD36遺伝子を導入しCD36高発現株 (CD36-MKN45)を作製し、以下の実験を行った。migration assayおよびinvasion assayにおいて、低酸素環境下でパルミチン酸を添加することにより CD36-MKN45の遊走能、浸潤能が亢進することが明らかになった。また、CD36-MKN45をnude mouseに1×107個 腹腔内投与し腹膜播種モデルを作製した結果、high fat diet投与群において腹膜腫瘍形成能の有意な亢進が確認された。 昨年度に引き続き、胃癌原発巣と転移巣の切除標本における胃癌細胞のCD36受容体の発現状況を症例数を追加し検討した。その結果、腹膜転移巣は原発巣や肝転移、リンパ節転移巣に比較し、CD36発現が高頻度であることが明らかになった。また、昨年度のin vitroでの検討で胃癌細胞株は低酸素環境においてCD36発現が増強していたことから、同一切片を用い低酸素マーカーであるCA-9の免疫組織染色を行ったところ、低酸素領域とCD36発現に相関性があることが確認された。さらに胃癌腹膜転移症例の臨床病理学的背景と予後因子に関して検討を行ったところ、多変量解析において腹膜病変のCD36発現が独立した予後因子として抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は胃癌細胞株のCD36発現が低いため、遺伝子導入によりCD36高発現株を作製した。今後は、この高発現株を用い研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CD36発現が細胞内代謝と癌細胞の悪性形質に与える影響について、今後検討する。
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Causes of Carryover |
本年度はCD36の遺伝子導入に時間を費やし、マウスモデルを用いた in vivoの検討がやや遅れたため、物品費が予想より低額に抑えられた。 本年度は今年度実施予定であったマウスモデルでの検討に加え、最終年度の実施予定であった検討を行い、国際学会の発表および英文誌への投稿まで完了する予定である。
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Research Products
(1 results)