2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of retroviral replicating vector-mediated prodrug activator gene therapy for biliary tract cancer
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19K09208
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡村 圭祐 北海道大学, 大学病院, 助教 (90724401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
佐々木 勝則 北海道大学, 医学研究院, 学術研究員 (60336394)
七戸 俊明 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70374353)
中村 透 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70645796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レトロウイルス / プロドラッグ / 胆道癌 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
胆嚢癌は発見された時点で周囲臓器に浸潤をきたした進行がんがあることが多いことから治療が困難な癌の一つである。胆嚢癌に対する有効な治療法は手術のみとされ、化学療法・放射線療法などの補助療法の有効性を示した研究はこれまでない。そこで、新しい治療戦略としてウイルスを応用した遺伝子治療法の可能性・有効性が追及されてきた。しかし、これまでのレトロウイルス・ベクターは腫瘍選択性を持たない弱点に加え、期待するほどの高い遺伝子導入効率が得られなかった。本研究では、胆嚢癌に対する① 優れた腫瘍選択性、②高い遺伝子導入効率、③確実な抗腫瘍効果を備えた新しい遺伝子治療法の確立を目的した。腫瘍選択的増殖レトロウイルス・ベクター(replicating retroviral vector; RRV)はマウス白血病ウイルス(MLV)由来であり、被膜内に核移行シグナルを持たないため、活発に分裂している癌細胞にのみ感染しゲノムDNAに組み込まれる効果的な腫瘍選択的増殖が期待できる。さらに、低毒性の遺伝子産物を選択することで、安定した遺伝子発現によるレトロウイルスの腫瘍内拡散が可能となる。このシステムに細胞内の鉄イオンを汲み出し、癌細胞をiron depletion状態に追い込み徐々に死滅させる効果を狙ったフェロポルチン遺伝子(ferroportin 1)を搭載した。胆嚢癌、胆管癌、乳頭部癌を含む胆道癌のうち、胆嚢癌由来細胞株3種類、G-415、OCUG-1、NOZに対するRRVの感染・拡散効果について、emerald GFP発現RRV (RRV-GFP)を用いてフローサイトメトリー(FCM)にて解析した。次にferroportin 1をコードする遺伝子SLC40A1 cDNAをemerald GFP cDNAと置換したRRV-SLC40A1を調製し、細胞増殖に及ぼす影響、抗腫瘍効果を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.3種類の胆嚢癌細胞株G-415、OCUG-1、NOZにそれぞれRRV-GFPウイルス(0.05 MOI)を感染させたのち2~3日おきに細胞をpassageし、passage 毎にGFP発現をFCMで解析し、ウイルスの拡散能力を評価した。結果、G-415細胞はウイルス感染後11日でほぼ100%(99.2%)の感染を示した。OCUG-1細胞はウイルス感染後12日で46.5%、27日目で94.4%に達した。NOZ細胞はウイルス感染後11日で94.2%と、ほぼプラトーに達した。このように胆嚢癌に対するRRVの高い感染効率ならびに遺伝子導入効率を示すことができた。 2.胆嚢癌細胞株G-415にRRV-SLC40A1ウイルス(0.05 MOI)を感染させ、ほぼ100%の感染が成立する11日以降の細胞のcell cycleをFCMで解析し、ウイルス非感染G-415(naive)と比較した。結果、naive G-415細胞のcell cycleはG0/G1 67.2%、S 21.7%、G2/M 10.2%であったのに対して、フェロポルチン発現G-415細胞のcell cycleはG0/G1 77.5%、S 13.0%、G2/M 8.2%であった。このように癌細胞におけるフェロポルチンの強制発現はcell cycle においてG0/G1 arrestという増殖抑制効果を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.胆嚢癌細胞株OCUG-1ならびにNOZに対するフェロポルチンの細胞増殖抑制効果をcell cycle解析で示す。さらに実臨床で使用されている鉄キレート剤(Deferasirox/EXJADE、Deferoxamine)を用いて除鉄処理を負荷することでフェロポルチンの効果増強を示す。 2.同所移植マウスモデルを作製することが可能なNOZ細胞株にルシフェラーゼ遺伝子を導入し、安定株をクローニングした後、担癌マウスモデルを作製する。ウイルス・ベクターRRV-SLC40A1を用いた治療実験で、経時的に腫瘍容積の変化を発光イメージングシステムIVISで示す。
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