2019 Fiscal Year Research-status Report
心機能回復のための心筋細胞における細胞極性因子aPKCの役割の解明
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19K09243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河村 拓史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60839398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 愛 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10838923)
秦 広樹 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (80638198) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞極性因子 / 心筋細胞 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後患者数の増加に伴い、重症心不全に対する新規治療法の開発の必要性が増してくることが予測される。本研究において申請者らは、心筋細胞における細胞極性因子aPKCの役割との関連が示唆される、臨床的に観察される補助人工心臓治療での心不全心の機能回復(functional recovery)の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。本研究の結果により、重症心不全に対する全く新しい側面からの新規治療法へのアプローチが得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において、我々はin vitroでの①心筋細胞におけるunloadingとaPKC-c-Myc pathwayの関連性の解明を計画している。心臓における心筋組織に対する外的力学的作用は、主に平面方向の張力(Stretch)、垂直方向の圧力(Pressure)、そしてずり応力(Shear Stress)に分類することができる。心筋細胞に対するこれらの外的力学的作用に関して、心不全心に対する補助人工心臓治療による心臓のunloadingによる影響を考えると、StretchとPressureが変化していることが考えられる。Shear Stressに関しては、心筋細胞は直接心臓内腔の血流が接している訳ではなく、血管内皮細胞を介して影響を受けていると考えられる。 心筋細胞に対するStretchとPressureの影響を検討するため、in vitroでのシステムを用いる。具体的には、Stretchに関してはストレッチチャンバーを用いた伸展刺激を行う。培養心筋細胞に関しては、当科で大量培養分化誘導システムにより作成した、ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞を用いる。令和元年度はストレッチチャンバーによる心筋細胞の培養方法の確立を行なった。伸展刺激を行うことができる、ストレックス社のストレッチチャンバーシステムを利用し、まずストレッチチャンバーへの心筋細胞の接着培養の条件検討を行った。各種コーティング方法(ゼラチン、フィブロネクチン、コラーゲン)を検討し、指摘な培養条件の検討を行った。その結果、現時点でヒトiPS細胞由来心筋細胞の培養においては、ゼラチンコーティングにより、細胞数105個/cm2程度の濃度で播種することで良好な接着が得られ、伸展刺激を行うことができることが明らかとなった。今後、細胞内シグナル伝達に注目しunloadingとaPKC-c-Myc pathwayの関連性を進めていく計画としている。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験施設の工事に関する影響、またCOVID-19の影響により動物実験施行が困難であることが予測されるため、今後は主に臨床検体を用いた組織学的な検討を中心に行う必要があると考えている。すなわち、心不全心のunloadingについて、LVAD植込手術時、心臓移植時の心臓組織を比較検討する事でunloadingに関する検討が可能と考えている。aPKC関連のタンパク質の免疫染色、RNA抽出からの遺伝子発現解析を行い、②aPKC-cMyc pathwayの亢進による心不全心のfunctional recoveryの解析を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
現状で、本研究についてはin vitroでの心筋細胞に対するunloadingの影響を検討するシステムを作成している段階で、今後このシステムを用いてaPKC-c-Myc pathwayの影響を検討していく必要がある。次年度以降も本研究を進めていく必要があるため、次年度使用が生じている。
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