2020 Fiscal Year Research-status Report
小児心臓手術の人工心肺が活性化白血球を介して全身へ与える影響の分子メカニズム解明
Project/Area Number |
19K09274
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井本 浩 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60274461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
上野 健太郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (20644892)
上田 英昭 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50598274)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
松葉 智之 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (80835281)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小児心臓手術 / 人工心肺 / マイクロRNA / エクソソーム / 肺高血圧症 / 腎機能障害 / 血管増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工心肺で活性化された白血球は炎症性サイトカイン、増殖因子、マイクロRNAを放出して循環に影響すると考えられる。それらの因子の一部は、エクソソームに内在して放出されていることが予想される。本研究は、心室中隔欠損症(VSD)に対する心臓手術の周術期血液中およびエクソソームに内在するマイクロRNAや関連分子を解析することで、エクソソームを介して周術期循環動態や腎障害、肺血管抵抗へ影響する因子を解明し、開心術術後管理方法を発展させることを目的とする。 検体は鹿児島大学病院でVSDに対し心臓手術を受ける患者対象より、術前、術後を通して血液検体を収集し、血漿、血清を採取しする。その一部からエクソソームを分離する。血漿、血清、エクソソームそれぞれで炎症性サイトカイン、血管拡張因子などをELISA法で測定する。またマイクロRNAを抽出し、典型的な術後経過をたどった対象の網羅的解析を行う。有意変化を示すマイクロRNAを同定し、その他の検体でもqPCR法を行い、周術期を通して半定量評価を行い臨床データとの相関を調べる。 有意と判断した因子、マイクロRNAを血管内皮関連培養細胞に導入して、蛋白質発現やマイクロRNAの変化、細胞への影響を確認する。また培地に分泌されたエク ソソームを回収、優位因子について解析する。さらに白血球系培養細胞THP-1でも同様の解析を行う。 THP-1およびその培地内のエクソソームで有意変化があった因子については、血管内皮系細胞に添加しその変化を解析する。この解析の結果は、周術期の炎症細胞が血管内皮への影響を反映していると考えられ、再度患者検体の結果とも検討し、エクソソームを通して周術期経過に影響を与えているマイクロRNAや増殖因 子、サイトカインを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鹿児島大学病院倫理委員会の承認を受けて、検体回収を開始している。また検体回収施設を追加して検体回収を行っている。現在20例以上の検体が集まり、解析可能な段階となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通りに検体回収を進める。2019年度に回収した検体を用いて、マイクロRNAの網羅的解析を行いその中で有意変化を起こすものが検出されており、その結果を基にその他の検体でのPCRや細胞実験を行っていく。
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