2021 Fiscal Year Annual Research Report
グルカゴン様ペプチド1作動薬を用いた内在性保護機構活性化による脊髄保護
Project/Area Number |
19K09327
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松本 美志也 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60243664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 敦生 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (50379971)
水上 洋一 山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
若松 弘也 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80379966)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / Glucagon-like peptide 1 / リラグルチド / エクセナチド |
Outline of Annual Research Achievements |
今までの研究で、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬であるエクセナチドとリラグルチドのうち前者には脊髄保護効果がなく後者には保護効果が認められた。今回、その結果の違いを調べる目的で、エクセナチドとリラグルチドの投与による脊髄での遺伝子発現を比較した。 【方法】家兎を3群(各群n = 4)に分けた。イソフルランとフェンタニルによる全身麻酔下の家兎に、エクセナチド50 μg/kgを静注(E群)、リラグルチド200 μg/kgを皮下注(L群)、または生理食塩水を静注し(C群)、E群とC群では投与後60分に、L群では投与後90分に腰部脊髄を取り出した。Total RNAを抽出後にRNA純度測定を行い、次世代シークエンス解析に用いた。total RNA 100ngからmRNAの抽出と断片化を行い、バーコードおよびアダプターを付加しライブラリーを作製した。濃度とライブラリー長を確認後にIllumina NextSeqで全mRNAのシーケンスを行った。統計は一元配置分散分析に続いてDunnett's multiple comparisons testを用い、P < 0.05を有意とした。 【結果】主成分分析では成分2でコントロールと薬剤処理が分離し、成分3でエクセナチドとリラグルチドが分離した。50%以上有意に上昇した遺伝子はE群で65個検出され、L群では311個検出された。塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF2)遺伝子やグルタミン酸トランスポーター(SLC1A2)遺伝子がC群に比較しL群で有意に上昇していた。 【まとめ】同じGLP-1受容体作動薬であるエクセナチドとリラグルチドでも遺伝子発現には大きな差があることが判明した。FGF2やSLC1A2の増加は神経細胞保護効果があることが報告されており、リラグルチドの脊髄保護作用に関連がある可能性があることが判明した。
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