2019 Fiscal Year Research-status Report
悪性高熱症の遺伝子診断を目指した1型リアノジン受容体遺伝子変異体の作製と発現
Project/Area Number |
19K09383
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小口 勝司 昭和大学, 医学部, 名誉教授 (50129821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 英人 昭和大学, 医学部, 講師 (50266160)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 悪性高熱症 / malignant hyperthermia / リアノジン受容体 / ryanodine receptor / cDNAカセット / cDNA cassette / カルシウムイオン / calcium ion |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内カルシウム(Ca2+)放出チャンネルである1型リアノジン受容体(RyR1) cDNAの塩基配列に、悪性高熱症(malignant hyperthermia、MH)患者の症例に報告されたアミノ酸配列の変異に相当する塩基置換を施したMH型RyR1cDNAの変異体を構築して、これらを強制発現させた培養細胞株を樹立して、正常なコントロールとなり得る野生型(wt)RyR1を介した細胞内Ca2+動態と比較して解析するシステムの構築を目指した。 このRyR1を通常の培養細胞に遺伝子導入して高発現させると小胞体ストレスによりアポトーシスを生じて細胞死を引き起こすので、恒常的にRyR1発現する細胞を株化して維持できないので、必要な時期に必要な場所で遺伝子発現が制御できる新たな遺伝子発現制御システムが必要である。そのための時・空間的な遺伝子発現の制御が可能な遺伝子発現システム「All-in-Oneタイプのダブルコンディショナルな単一shRNA発現ベクター」を新規に考案して新たなに発現制御可能なベクターとして構築できたので、第42回日本神経科学大会にてポスター発表を行った(2019年7月26日、新潟市朱鷺メッセ、共同開催:第62回日本神経化学会大会) また、cDNAをカセット構造化させたRyR1cDNA (CsRyR1cDNA)を利用する簡易なMH型変異体作製法に関する報告を第92回日本薬理学会総会にて発表する(2020年3月16日、パシフィコ横浜)予定であったが、国内での新型コロナウィルス感染の拡大により、対面の無い誌上発表のみとなった。 尚、これらのCsRyR1cDNAを用いて作製されたMH型RyR1変異体の機能変化の解析結果と分子動力学シミュレーションを組み合わせた論文を共同研究者と共著で公表することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前の研究課題(H9-10)で構築した「カセット構造化したRyR1cDNA(CsRyR1cDNA)」内に、10番目のCsRyR1cDNA領域(Cs10)に予想される制限酵素で切断さなかったので、データベース上の配列と異なる配列が存在することが予想された。そこで、Cs10内の塩基配列を再度シークエンスしてみたところ、コードするアミノ酸配列は同一だが塩基配列が異なるサイレントな遺伝子変異が見つかった。さらにCsRyR1cDNA全長をシークエンスし直してみたところ、さらに数か所のサイレントな塩基配列の違いとグルタミン酸が連続する配列(Glu-rich region)の一部が欠損していることが判った。この欠損部分をinversPCR法にて、修正してから、再度シークエンスを行ってデータベースのアミノ酸配列と同じ配列を持つRyR1をコードする全長CsRyR1cDNAを再構築することができた。 MH型変異体の作製をRyR1のカルボキシル基末端(C末)から系統的に作製することして、2002年にGalliらが(Cell Calciumに)報告した737番目のアルギニ(R)がトリプトファン(W)に変異したR4737W変異体、4237番目のバリン(V)がロイシン(L)に変異したV4234L変異体、4136番目のRがセリン(S)に変異したR4136Sの作製するために必要なPCR用プライマーをデザインした。 昨年末より、これらのPCR用プライマーを用いて、10番目のcDNAカセットCs10内にR4737W、V4234L、および9番目のcDNAカセットCs9内にR4136Sの変異の導入を試みるも、十分な遺伝子増幅が見られなかった。この原因が現在まで使用してきたPCR機(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice:TakaraBio社製)の不具合が原因と思われるので、このPCR機の点検および修理をタカラバイオ社に依頼している。
|
Strategy for Future Research Activity |
Galliらが, 2002年にCell Calciumに報告した4737番目のアルギニ(R)がトリプトファン(W)に変異したR4737W変異体、4237番目のバリン(V)がロイシン(L)に変異したV4234L変異体、4136番目のRがセリン(S)に変異したR4136Sの変異体と、R4737WとV4234LはCsRyR1cDNAカセットの10番目のカセットCs10を、R4136Sは、9番目のカセットCs9を鋳型として、inversPCR法にて作製する。各MH型RyR1変異体をコードするcDNAを作製後は、発現ベクターに挿入して、培養細胞に遺伝子導入して発現の有無を確認する。各RyR1変異体の発現が確認できた細胞株は一部を細胞凍結用保存液にて液体窒素中に保存する。
|
Causes of Carryover |
「現在までの進歩状況」に記載したように、昨年末より、PCR用プライマーを用いて、10番目のcDNAカセットCs10内にR4737W、V4234L、および9番目のcDNAカセットCs9内にR4136Sの変異の導入を試みるも、遺伝子増幅が見られなかった。この原因が、現在まで使用してきたPCR機(TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice)の不具合が原因と思われるので、このPCR機の点検および修理をタカラバイオ社に依頼しており、この点検および修理費用に充てる必要が生じた為。
|
-
[Journal Article] Insights into channel modulation mechanism of RYR1 mutants using Ca2+ imaging and molecular dynamics.2020
Author(s)
Yamazawa T, Ogawa H, Murayama T, Yamaguchi M, Oyamada H, Suzuki J, Kurebayashi N, Kanemaru K, Oguchi K, Sakurai T, Iino M.
-
Journal Title
Journal of General Physiology
Volume: 152
Pages: e201812235
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Presentation] Construction and integration of the All-in-One type single double-conditional shRNA expression vectors for spatio-temporal gene and/or cell targeting.2019
Author(s)
Oyamada H, Ao Y, Kudo Y, Matsuoka T, Okamoto R, Murayama T, Yamazawa T, Kakizawa S, Oguchi T, Kimura MA, Yasumoto T, Mori Y, Tsuji M, Oguchi K, Kiuchi Y.
Organizer
第42回日本神経科学大会( 共同開催:第62回日本神経化学会大会)