2020 Fiscal Year Research-status Report
一酸化炭素中毒後遅発性脳症に対する神経栄養因子の投与による治療効果の検討
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19K09436
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西原 佑 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50568912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一酸化炭素中毒 / 遅発性脳症 / マイクログリア / 神経前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化炭素中毒の後、遅発性に認知機能の低下をきたす遅発性脳症と言われる病態がある。我々はマイクログリアの減少がその一旦に寄与していることを見出し、研究を進めている。マイクログリアの減少は様々な神経栄養因子の減少を引き起こし、神経細胞の生存やミエリンの保持にとってマイナスに働くものと考えられる。マイクログリアの減少により産生が低下するInsulin growth factor 2(IGF-2)を投与することにより、IGF-2を補充することで遅発性脳症の発症を予防できないか検討中である。行動解析では一酸化炭素中毒モデルに比べ、IGF-2を投与した群では遅発性脳症の発症が予防できていると考えられるデータが得られた。と同時に、これまでマイクログリアの減少に着目していたが、マイクログリアだけではなく神経前駆細胞の有意な減少が認められることを新たに見出した。この知見は、Neural precursor cells are decreased in the hippocampus of the delayed carbon monoxide encephalopathy rat modelのタイトルでScientific Reportsに公表した。 今後は行動解析だけではなく、IGF-2の投与における脳内、特に海馬における変化をサンプルで解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの蔓延により、学内の研究活動が制限されたことに加え、コロナ患者の対応などの臨床業務が増えたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
ワクチンの接種を終了し、今後研究活動の制限が緩和された際には、当初の計画を順次再開していく予定である。現時点で計画自体はおおむね悪くないものと思われるが、一部サンプルが古くなってしまったものも存在するため、モデルの作成、サンプリングをやりなおす必要がある。行動解析でのデータは悪くなく、今後はサンプルの解析に注力していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延にともない、研究活動の一部自粛に至った上に、コロナ感染症対応などの臨床業務が増えたため、予想よりも研究活動が行えなかったことに起因する。これまでに少しずつ進めた研究データはおおむね悪くなく、今後の研究活動のメインはサンプルの解析となるため物品費、特に解析用試薬が大量に必要となる。また、一部サンプルの枯渇や劣化が疑われるため、モデル作成からのサンプルの作り直しなども必要となり、助成金の残り金額は全て必要となると思われる。
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Research Products
(3 results)