2021 Fiscal Year Annual Research Report
疾患特異的iPS細胞を用いた神経線維腫症2型の病態解析と新規治療法の探索
Project/Area Number |
19K09519
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺坂 俊介 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (10447055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江良 択実 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00273706)
伊師 雪友 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (30812284) [Withdrawn]
小林 浩之 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (70374478)
山口 秀 北海道大学, 大学病院, 講師 (70399939)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経線維腫症2型 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
5名の神経線維腫症2型(neurofibromatosis type 2; NF2)の患者から採取した末梢血単核球を用いて、センダイウイルスベクターを使用した方法でiPS細胞の誘導を行った。いずれの患者からもiPS細胞が誘導され、PCR及び免疫染色においてES細胞やiPS細胞に認められる幹細胞マーカーが発現していることを確認した。次に健常人由来のiPS細胞を用いて、シュワン細胞への分化誘導を試みた。まずシュワン細胞の前段階である神経堤(neural crest)への分化誘導を、GSK-3β阻害薬およびTGF-β阻害薬を用いて行った。免疫染色ではneural crestのマーカーであるp75の発現が認められ、定量PCRではneural crestマーカーのp75の発現が上昇した。続いてneural crestに対してneuregulin-1を用いた方法でシュワン細胞への分化誘導を試みたが、シュワン細胞のマーカーであるS100およびGFAPの発現した細胞が十分に得られなかった。 患者由来iPS細胞の遺伝子解析では、1例においてiPS細胞のクローン間でNF2変異の有無が異なることが確認された。この症例では末梢血単核球由来のDNAにおけるサンガーシークエンスではNF2遺伝子の変異は同定されず、複数の腫瘍において同一のNF2遺伝子変異が検出されたことから、体細胞モザイクの患者から樹立されたiPS細胞と考えられた。iPS細胞の各クローンから採取したRNAを用いた定量PCRでは、NF2遺伝子の変異の有無に関わらずRac1経路やmTOR経路、Hippo経路などNF2タンパクが作用するシグナル経路における遺伝子発現の差は認められなかった。したがってNF2における腫瘍化においては、NF2遺伝子の一側アレルの変異のみでは不十分であり両側アレルの異常による機能不全が必要不可欠であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)