2020 Fiscal Year Research-status Report
悪性骨腫瘍切除後処理骨ラットモデルを用いた付加処置による処理骨単独再建の確立
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19K09548
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 昭夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (40335964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 処理骨 / 悪性骨腫瘍 / 動物モデル / 塩基性線維芽細胞増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫罹患骨を切除し、腫瘍細胞を殺処理してもとに戻す方法が使用されるが、処理単独での成績は不良であり、通常血管丙付き骨移植とともに施行される。処理骨単独の臨床成績向上を目指し、ラット大腿骨処理骨モデルを作成した。ラット大腿骨骨幹中央部に10mm長骨を切除摘出し、採取部へ戻し、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(Poly Ether Ether Ketone: PEEK)にて再固定した。切除 骨の長さ、プレートの長さ、スクリュー中を調整した。3週にて固定が問題ない事を確認し、ラット大腿骨処理骨モデルを確立させた。次に処理骨モデルの作成を行った。切除骨をパスツール法と凍結処理法にて処理した。パスツール法は切除骨を生理食塩水と共に1.8ml チューブにいれ60度30分間ヒートブロックにて加温し、凍結処理は、液体窒素内に1分浸し、室温にて解凍させた。 臨床では骨肉腫は周囲筋を合併切除することが多いため、ラット切除骨周囲の大腿四頭筋を切除する筋切除モデルを作成した。パスツール処理にて結果が安定していたため、パスツール処理の数を増やし解析した。処理骨にFGF2を髄腔に含有させることより骨形成、処理骨生存向上の仮説のもと、FGF2 10マイクログラム含有させたペルナック(人工真皮)を髄腔内留置した群(FGF群)、処理骨周囲に筋組織を除去した群を腫瘍広範切除モデル(筋切除群)とした。FGF群と筋切除群を組み合わせ、コントロールと対応させた。処理骨を含む大腿骨をマイクロCTを用い、処理骨とホスト骨との間の骨形成と処理骨骨幹部の骨吸収の程度を評価した。筋切除群は非筋切除群と比較して、処理骨-ホスト骨の骨形成は亢進していた。処理骨と非処理骨との比較においては、処理骨中央部にて処理骨において、非処理骨よりもCT値が低く骨吸収が亢進している事を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
処理骨とホスト骨間の骨形成は、ばらつきがあり骨形成を示唆することが難しく、評価範囲を限定し、定量化することに苦慮した。また、処理骨の評価においてホスト骨との間に骨形成がおこり、骨幹部には骨吸収がおこり、その解釈が難しかった。骨幹部に限局し、周囲骨の影響を受けない部分に限局して解析する事により所見が得られた。2020年より解像度の高い新しいマイクロCTが導入され解析可能となり、現在、同一標本にて再度評している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在施行中のマイクロCTによる再評価を継続し、スコアリングによる定量化する。非処理骨は骨組織のリモデリングにより骨吸収が生じた事に対して、処理骨は骨リモデリングが起きず、骨吸収が抑制されCT値が上昇した可能性が考察された。その結果を確認するために、組織切片を作成し骨形成と吸収の形態学的評価を行う。
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