2020 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞に特異的な「骨の鮮度」を識別する新規受容体の探索と同定
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19K09625
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤田 洋史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20423288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小渕 浩嗣 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (10304297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨の鮮度 / ゲノム編集 / 骨リモデリング / 新規受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、破骨細胞特異的に発現する複数の受容体群を、in silico解析にて明らかにしており、これらの中に骨の鮮度を認識する受容体があると仮説を立てている。 本年度は、これらの受容体の1群のTriple KOを、C57BL/6マウス胚とCRISPR-Cas9 systemを用いて試行した。ゲノム編集処理を行なった受精卵を、偽妊娠マウスに移植した結果、E21になっても出産がなかったため帝王切開を行なった。母胎内でE15.5以降まで発生した大小2匹の胎児が認められたが、致死であった。これらのゲノムDNAを精製し、シークエンシングにより解析した結果、胎児小については、GeneB、Gene Cに変異が導入されていることを確認したがGeneAについては正常であった。一方胎児大については、Gene Aのみに変異が導入されていた。以上の結果は、これら遺伝子群が、E15.5以降の発生に影響している可能性を示唆した。 一方で私たちは、候補分子の一つGene Dについて、昨年樹立したKO系統に加え、部分欠損した系統を樹立した。この2系統のGene D変異マウスから骨髄を採取し、マクロファージを分化誘導した。この骨髄マクロファージにおいて、リガンド投与によるカルシウム応答が消失していることを証明した。しかしながら、RANKL誘導性の破骨細胞形成に対し、これら変異は影響を与えなかった。これらの結果は、Gene DがRANKL誘導性の破骨細胞分化機構に直接関与しないことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに樹立した候補遺伝子変異マウスのin vitro解析が進んでおり、新たな候補遺伝子のマウス胚におけるゲノム編集も可能であり、発生後期に影響する可能性を明らかにできたため、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ゲノム編集処理による毒性が、発生に影響して胎児数が少なくなり、出産不全になっている可能性を考慮して、エレクトロポレーションの条件検討をしている。他の候補遺伝子群についても、マウス胚にて、ゲノム編集処理を行い、偽妊娠マウスへの移植、F0マウスのジェノタイピング、系統樹立後の骨粗鬆症誘導と酸化ストレス誘導、大腿骨のCT解析を行い、鮮度認識受容体候補分子の機能解析を順次行う予定である。
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Causes of Carryover |
胚培養費用を節約できたため次年度使用額が生じたが、前述のようにTriple KOマウスの樹立は困難だったため、ゲノム編集マウス作製数は予定より増えると見積もっている。そのため、試薬費用などが増える予定であり、次年度へ繰り越して、これに充てることとした。
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Research Products
(6 results)