2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K09647
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩月 克之 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90635567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 真吾 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, ユニットリーダー (20415186)
寳珠山 稔 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30270482)
栗本 秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70597856)
平田 仁 名古屋大学, 予防早期医療創成センター(医), 教授 (80173243)
大山 慎太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80768797)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛の患者として手根管症候群の患者を登録して解析を行っている。他難治性疼痛である複合性局所疼痛症候群患者なども登録し解析を行っている。 手根管症候群においては、手術前および手根管開放後半年での脳磁図検査を解析した。母指および中指の皮膚電気刺激によって得られる体性感覚誘発脳磁場(SEF)の推定電流源間距離を比較した。また正中神経を手関節部で電気刺激しSEFを計測した。単発刺激に加え10, 40, 80, 200 msの刺激間隔(ISI)の2発刺激により誘発されたSEFより刺激後20msに出現するSEF成分(N20m)の振幅(RMS)の回復曲線を算出し、年齢対照群における値と比較した。 正中神経の皮膚感覚支配領域からの感覚入力が障害されるため、対応する皮質受容野内での機能構築が不明瞭となり、母指中指の皮膚電気刺激によって得られるSEFの推定電流源間距離は手根管症候群で年齢対照群より短く、電気生理学的重症度と相関していた。しかし術後半年でこの変化は健常群に近い距離に回復していた。 また10 ms間隔刺激により得られるSEFの回復曲線は手根管症候群で早期の回復が認められ、電気生理学的中等度群は重症度群と比較して早期の回復であった。特に中等度群で感覚皮質での抑制的神経活動が減少していることが示唆された。しかしこの変化は術後半年でほとんど回復はしなかった。 皮質受容野内で機能構築が不明瞭となる事は神経障害における不適合性変化であり、障害が改善すると元に戻る。一方、感覚皮質での抑制的神経活動の減少は、知覚低下に伴う適合性変化とも考えられ、手術後においても刺激に対する脱抑制は比較的長時間にわたり残存している可能性がある。さらに中程度群で、脳が回復機能と適応変化に対する感度を高めようとしているが、重症だとそれもできなくなるという可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年末までは順調に研究を遂行可能であった。年度末にかけて新型コロナウイルスの問題が生じてやや研究遂行が減速はしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き疼痛における脳機能解析を行っていく予定である。昨年度末にかけて新型コロナウイルスの問題が生じ、今後の研究に問題が生じる可能性も懸念はしている。
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Causes of Carryover |
2020年2月ごろより名古屋地区ではCOVID-19の流行がはじまり、研究活動の障害が起きるようになった。特に、登録患者を危険に合わすことはできないため、患者登録の自粛を行ったため、年度末の予算の使用に差異が生じた。
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Research Products
(17 results)