2022 Fiscal Year Research-status Report
尿中microRNAを用いた腎移植後のBKウイルス腎症の診断
Project/Area Number |
19K09741
|
Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
力石 辰也 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80261303)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸井 祐二 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50791802)
石井 保夫 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80318039)
中村 有紀 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50349487)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 腎移植 / BKウィルス腎症 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人腎移植患者を対象としてBKV腎症の症例で、尿中のmiRNA-B1-3p およびmiRNA-B1-5pの発現の増強の有無を検討することに方針を転換した。腎移植後移植腎生検にてBKV腎症を確認した3例、BKV腎症は認めないが、尿中Decoy 細胞を認める1例、BKV腎症もDecoy細胞も認めない無症状例2例、計5例を対象として尿中のmiRNA-B1-3p およびmiRNA-B1-5pの発現を検討した。尿サンプルは腎移植直後と、BKV腎症ないしはDecoy細胞を認めた症例ではその時点の尿を採取し、-20℃で凍結保存したのち、資料をFIlgen株式会社に送付して解析を依頼した。miRNAB1-3p 及び-5pの発現は、realtime PCR法によるCt値として検討し、 hsa-miR-16をcalibrator とした。結果:移植時の尿中 miRNA の標準化したCt値は、コントロールの has-miR-16 と比較してBKV-miR-B1-3p とBKV-miR-B1-5pはどちらもCt値が高く、発現量が少なかった。BK診断時またはprotocol生検時の尿中 miRNA の標準化したCt値は、Bkv-miR-B1-3p 及びBkv-miR-B1-5p の標準化Ct値はコントロール群より、Decoyでやや低く、BK群でさらに低かった。サンプル数が少ないため、統計学的な有意差はなかった。日本人腎移植患者においても、BKV感染症の発症例ではbkv-miR-B1-3pとbkv-miR-B1-5pの発現が増強していることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初本研究では、腎移植症例の尿中のmiRNAを網羅的に解析し、BKV腎症を発症した症例とそうでない症例を比較し、発現が増強ないし減弱しているmiRNAを見出し、BKV腎症の早期発見に結び付けることを目標としていた。しかし、免疫抑制療法の改善でBKV腎症を発症する症例が少なくなったこと、COVID感染症の影響で腎移植症例が減少したことなどから、研究が遅れていた。海外から腎移植後のBKV腎症では、尿中のmiRNA-B1-3p およびmiRNA-B1-5pの発現が増強しているとの報告があったため、本研究でも日本人腎移植患者で、BKV感染症の発症例ではbkv-miR-B1-3pとbkv-miR-B1-5pの発現が増強していることを見出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
残る研究期間では、腎移植後移植腎生検にてBKV腎症を確認した3例、BKV腎症は認めないが、尿中Decoy 細胞を認める1例、BKV腎症もDecoy細胞も認めない無症状例2例、計5例を対象として血清中および移植腎生検組織中のmiRNA-B1-3p およびmiRNA-B1-5pの発現を検討をおこなう。
|
Causes of Carryover |
本研究では腎移植後のBKV腎症症例では、BVK由来のmiRNAの発現が増強しているのではないかとの考えから、腎移植症例の尿中のmiRNAを網羅的に解析し、BKV腎症を発症した症例とそうでない症例を比較し、発現が増強ないし減弱しているmiRNAを見出し、BKV腎症の早期発見に結び付けることを目標としていた。しかし、免疫抑制療法の改善でBKV腎症を発症する症例が少なくなったこと、COVID感染症の影響で腎移植症例が減少したことなどから、研究が遅れ、支出が次年度となった。
|