2019 Fiscal Year Research-status Report
難治性再発卵巣腫瘍を標的とした改変型腫瘍溶解性ウイルスの開発
Project/Area Number |
19K09751
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那波 明宏 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (90242859)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / 1型単純ヘルペスウイルス / 卵巣癌 / FRα / 葉酸 / シクロデキストリン / 分子標的薬 / PCFT |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌症例の約半数がIII/IV期の進行癌で、その多くは治療後に化学療法抵抗性となった腹膜播種癌などとして再発するため、従来の化学療法とは一線を画した治療戦略が求められている。本研究では、卵巣癌細胞を特異的に殺傷する腫瘍溶解性ウイルス(OV)を用いた治療法の開発を目指す。遺伝子改変操作をすることなく様々な分子を標的化できる改良型OVとして、蛍光色素FITCに特異的に結合するOV(FOV)を発案した。卵巣癌の腹膜播種モデルマウスに対して、FOVを利用して卵巣癌や他組織における様々な腫瘍マーカー分子を標的としたFOV療法を実施し、治療効果を比較解析することで再発卵巣癌の治療に有効な標的分子を同定する。 令和元年度は(1)FOV作製に必要な諸手続き、及び、(2)治療標的としての葉酸受容体α(FRα)の有用性の検討の2つを中心的に行った。 (1)FOVはこれまでになかったOVであるため、新たに第二種使用等拡散防止措置確認申請、及び、組み換えDNA実験計画の申請を行った。FOV作製に必要な各種材料(親株OVを発現するバクテリア人工染色体(BAC)DNA、BAC DNAの遺伝子組み換えに必要な大腸菌株、等)を譲り受けるため、各所に対して研究試料提供契約(MTA)締結などの手続きを行った。 (2)両親媒性分子であるシクロデキストリンの外周を、FRαのリガンドである葉酸で修飾し、さらにパクリタキセルを結合させた複合体(PTX/Fol-c1-β-CyD)を用いた。PTX/Fol-c1-β-CyDはマウス全血中の好中球比率を低下させることなく、マウス腹腔内に定着した卵巣癌細胞株に対して、従来のパクリタキセルより有意に高い抗腫瘍効果を示した。また、PTX/Fol-c1-β-CyDは、プロトン共役葉酸トランスポーター(PCFT)のみを発現している細胞株に対しても抗腫瘍効果を示すことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)については各種申請に終始した。また、付随研究である(2)の論文投稿に関するリバイズ実験が難渋し、想定よりも時間を割かれた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)の必須材料であるBAC DNAを入手できたので、FOV作製を最優先とする。 各種研究材料の到着を待つ間に行った実験から、(3)FRαのまったく新しい機能を示唆するデータを得たので、FOV作製などの合間に進めていく。
|
Causes of Carryover |
共通機器使用料や実験動物飼育料などの請求は翌月になってから発生する為、支払いのために残した。
|
Remarks |
『名古屋大学低温プラズマ科学研究センター』のウェブサイトでも公開されると連絡を頂いております。
|
Research Products
(4 results)