2019 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌手術の個別化医療に向けたセンチネルリンパ節理論の解明と分子病理診断の応用
Project/Area Number |
19K09757
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
戸上 真一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (20644769)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 裕明 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70260700)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 子宮頸癌 / 子宮体癌 / OSNA法 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌12症例の49リンパ節、および子宮体癌18症例の67リンパ節を対象に、摘出したリンパ節を2mm間隔にスライスして、病理組織診(HE染色、免疫染色)及び分子病理診断(OSNA法)にて診断し、OSNA法測定による陽性/陰性の判定と、病理組織検査による転移有無の判定との一致率を評価することにより転移診断法を検証した。子宮頸癌ではOSNA法の感度は80%、特異度97.7%、陰性的中率97.7%であった。子宮体癌ではOSNA法の感度は85.7%、特異度93.3%、陰性的中率98.2%であった。これらはいずれもこれまでの他癌腫の結果とほぼ同等であり、子宮頸癌、体癌でもセンチネルリンパ節の転移診断にOSNA法が活用できる可能性を持っていることが示唆された。さらにOSNA法と病理組織検査で結果が違った症例を検討した。OSNA法が陽性で病理組織検査が陰性リンパ節は子宮頸癌では1個に、子宮体癌では4個に認めた。これらの病理組織検査を行ったリンパ節をすべて0.2mm切片を作成しultra-stagingを行った。子宮頸癌の1個においてリンパ節は0.2mm切片でも転移巣は認めず、おそらくOSNA法の切片のみに微小転移未満の転移巣があったと推察された。子宮体癌の4個のリンパ節は全てのリンパ節で0.2mm切片にて微小転移巣を認めた。一方、OSNA法が陰性で病理組織検査が陽性のリンパ節を子宮頸癌、体癌それぞれ1こずつ認めた。子宮頸癌では1つの0.2mm切片に微小転移巣を認めた。子宮体癌では原発巣および転移リンパ節の免疫染色にてCK19陰性であったため、OANA法も陰性となったと推測される。これらの結果より、術前の生検標本の免疫染色にてCK19陽性の患者に限定すれば、センチネルリンパ節の転移診断にOSNA法はさらに活用できる可能性を持っていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮頸癌、体癌におけるOSNA法のpreliminary testは良好な結果であった。感度、特異度ともに他の論文と同等であり、これらの癌腫でもセンチネルリンパ節転移診断に応用できる可能性があると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は子宮頸癌、子宮体癌において、手術中にセンチネルリンパ節を摘出し、実際にOSNA法による転移診断をおこなう。今回の研究にてCK19発現の有無が重要であることがわかったため、術前に得られた生検標本にて免疫染色を行い、CK19陰性症例は除外することが必要になると考える。
|
Causes of Carryover |
OSNA法による解析症例数が予定より少なかったため、実際の消耗品代等が予定より少額となった。また、これまでの研究を学会で発表予定だが、本年は解析が間に合わず発表できずに旅費が発生しなかった。さらに、論文化もまだ行えておらず、校正などに費用もかからなかったため。2020年度はOSNA法による解析症例数を増やしていくことにより消耗品代等の費用がかかること、論文化や学会報告を行うことを計画しているため、これらを次年度使用額へあてる予定である。
|