2022 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣明細胞癌に対するNEFHを標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K09759
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
板持 広明 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20314601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 忠宏 岩手医科大学, 医学部, 特任准教授 (00337148)
永沢 崇幸 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10453309)
苫米地 英俊 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10771363) [Withdrawn]
利部 正裕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30382609)
佐藤 誠也 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30621007) [Withdrawn]
深川 安寿子 岩手医科大学, 医学部, 任期付助教 (30772511) [Withdrawn]
馬場 長 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60508240)
小島 淳美 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60508753)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 明細胞癌 / NEFH |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞癌は化学療法に低感受性であり、進行例の予後は非常に不良である。明細胞癌におけるバイオマーカーや新規治療標的の開発が急務である。腎明細胞癌においてneurofilament heavy(NEFH)はがん抑制遺伝子の一つとして報告されている。そこで、NEFHに着目して以下の検討を行った。 明細胞癌57例から手術時に得られた組織検体を用い、免疫組織化学にてNEFHやNEFH/Akt/B-catenin経路関連蛋白発現を検討した。その結果、NEFH発現は54%(31例)の症例で観察された。これらの蛋白発現強度と進行期ならびにPI3k/Akt/mTOR/B-catenin経路の蛋白発現強度との間に関連はみられなかった。また、累積5年生存率はNEFH蛋白の無および低発現群では47%であり、中および高発現群の78%に比して低い傾向がみられた。明細胞癌I-II期症例においては、NEFH蛋白の無および低発現群の累積5年生存率は58%であり、中および高発現群の94%に比して有意に低かった(p<0.05)。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析の結果、臨床進行期とともにNEFH蛋白発現強度は独立予後因子となった。一方、明細胞癌組織検体55例を用いた全エクソン・シーケンス解析では、NEFH遺伝子変異が49%(27例)にみられた。NEFH変異の有無と予後との関連を検討した結果、NEFH遺伝子変異を有する群の5年無増悪生存率は47%であり、変異がみられない群の70%に比して低い傾向がみられた(p=0.0725)。明細胞癌I-II期症例においては、NEFH遺伝子変異を有する群の累積5年生存率は64%であり、変異がみられない群の94%に比して有意に低かった(p<0.05)。多変量解析の結果、臨床進行期とともにNEFH遺伝子変異の有無は独立予後因子となった[リスク比:2.4(1.02-6.09)]。 これらの成績から、NEFH蛋白発現および遺伝子変異は卵巣明細胞癌における予後予測マーカーとなり得ることが示唆された。NEFH経路を標的とした新規治療戦略による予後改善が期待される。
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