2021 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠家兎を用いた危機的産科出血に対する人工酸素運搬体投与による救命効果の研究
Project/Area Number |
19K09760
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
結城 由香子 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80812354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (50539244)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 教授 (70531391)
照井 克生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90256074)
宮本 守員 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 産科婦人科学, 講師 (90738923)
肥塚 幸太郎 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70874650) [Withdrawn]
金子 恒樹 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40617536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工酸素運搬体 / 産科危機的出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
産科危機的出血は妊産婦死亡原因の20%を占めており、この十数年間、妊産婦死亡の原因の第一位である。危機的出血に陥った場合は早期からの輸血が必要となるが、我が国では分娩の半数以上が産科一次施設で行われており、輸血準備が十分とは言えず、初期治療に遅れ死に至ることもある。 人工酸素運搬体(Hemoglobin Vesicle:以下HbV)はリポソームにヒト由来のヘモグロビンを内包し、Hb 10g/dLに相当する酸素運搬能を有している。室温で2年と長期保存が可能で、感染リスクがなく、血液型に関係なく輸血できるという特長があり、赤血球輸血の代替物として注目されている。 今回我々は、出血量が50mL/kg/hour以上となり、膠質液の輸液だけでは末梢循環不全に至る重篤な産科大量出血モデルを開発し、これに対して、赤血球輸血の代替としてHbV投与を行うことで出血性ショックを防止しうること、ならびに産科危機的出血に陥った場合でもHbV投与によって救命しうることを明らかにした。 HbVの血中半減期は数日であり、赤血球の寿命と比較すると短いが、病院に到着して通常の輸血治療ができるまでの数時間ないし半日をブリッジするように機能すれば十分救命可能と言える。現在のところ、産科一次施設などでの輸血治療は補給の観点から困難なことが多いが、HbV投与はそれを代替し、産科危機的出血の新しい救命戦略につながるものと期待される。
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Research Products
(2 results)