2021 Fiscal Year Research-status Report
がんサバイバーの生殖補助医療におけるMRTの応用を目指した研究
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19K09772
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
立花 眞仁 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30431571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 尚美 東北大学, 大学病院, 助教 (20595558)
渡邉 善 東北大学, 大学病院, 講師 (40722567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん生殖 / 卵子凍結 / 核移植 / 細胞質移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討で、凍結融解後のMII卵子第一極体を用いるPBTは困難であることが明らかとなった。そこで今年度は、凍結前にPB1Tを行うプロトコールを採用した。方法①としては、凍結前に他者の提供卵細胞質へheterologous PB1T(hPB1T)を行い、残りのMIIとhPB1T卵を凍結する。方法②としては凍結前にはドナー卵子は用いず、より安定している紡錘体の状態での凍結目的に除核した第二減数分裂中期(MII)紡錘体と自己の細胞質へautologous PB1T(aPB1T)を行って再構築卵としたものを凍結するプロトコールを採用した。MII紡錘体は、透明帯に詰めて通常の卵子と同様の方法でガラス化凍結を行っていたところ、回収率が非常に低く、凍結方法の工夫が必要であることが明らかとなった。対象のMII卵の凍結融解による生存率が75%で胚盤胞率が61.9%であり、凍結融解紡錘体を用いたMSTは再構築率が90.9%で胚盤胞率が40%、aPB1T後の凍結融解卵は生存率が78%で胚盤胞率が18%であった。本結果からはプロトコール①の方が胚盤胞を多く得られる結果であった。しかしながらMSTの結果は過去の霊長類における結果と矛盾し、新鮮な細胞質供与のあるMSTの発生が劣る原因究明が必要と思われた。 また、一つの卵子から兄弟胚を作出し、産仔を得た場合遺伝子マーカーによって親子ではなく兄弟の判定が必要となる。そこで、予備実験としてセントロメア近傍の相同組み換えが生じにくいSTRサイトを選別し、候補となる13マーカーを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年から凍結融解後の極体崩壊についての解決策としてPB1T後に凍結を行うプロトコールを確立し上記の結果を得ているが、昨年の遅れから研究期間の延長が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
紡錘体凍結保存については、ヒト受精卵凍結用の北里社製のCryotopを用いることにより生存率が向上することが見いだせている。実臨床を鑑みた場合には、使用予定が確定しない卵へのドナー卵の供与を要するプロトコール①よりは、プロトコール②が望ましい。よって今後凍結融解紡錘体を用いたMSTの効率が新鮮MII卵に近い発生率が得られるか、Cryotop凍結の凍結融解紡錘体にて検証する。また、PB1Tの再構築率の比較で顕微操作中の細胞骨格素材剤はサイトカラシンDを使用していたが、MSTでは実績のあるサイトカラシンBに戻すことによって非操作の凍結融解MII卵を上回る胚盤胞率が得られている。 1つの卵子からの兄弟胚と兄弟産仔の作出について、STRマーカーの選定が終了し、移植実験を開始している。その他、紡錘体の形態やコヒーシンなどの関連蛋白の免疫染色も条件検討が終了しているため、順次行っていく。次年度で研究を完結する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は効率的に進めたため、必要経費を抑えることができた。一方、研究延長の理由となった未遂行の実験経費、並びに最終的な結果の学会発表、論文校正、投稿費用等に未使用が生じた。繰越が生じた研究費はこれらの遂行に次年度使用予定である。
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Research Products
(2 results)