2021 Fiscal Year Annual Research Report
レニン・アンジオテンシン系を標的とした妊娠高血圧腎症に対する新規薬剤の開発
Project/Area Number |
19K09774
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入山 高行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10570442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症(Preeclampsia:PE)は、妊娠中に新たに発症した高血圧を主徴とする全身性疾患であり、全妊婦の3~5%に発症し、母児の周産期罹病・死亡の主因となっている。PEに対する病態に即した有効な治療法は存在せず、重症化したPE症例においては、超早産期であっても分娩の終了をもって症状の改善を期待するしかない。PEに対する新規治療法の開発は我々周産期医療従事者にとっては喫緊の課題である。PEの病態形成においてレニン-アンジオテンシン系(RAS)は中心的な役割を果たす。しかしながら、RASを標的とした薬は胎児毒性により妊娠中の使用ができない。そこで、既存のRAS系を標的とした薬剤を出発点とし、その構造変換により、胎児への毒性懸念のない製剤を創製し、PEに対する新規治療剤としての開発を目指すことが本研究の目的である。合成された化合物について、RAS系への作用についてのin vitroでの検討、マウスを用いた毒性の検討、薬物動態の検討、PEモデルマウスを用いたPEに対する治療効果の検討、と検討を進めた。リード化合物に比較して、妊娠マウスにおける安全域を10倍ほど確保した新規化合物を取得することができた。実臨床への応用に向けては、安全域をさらに大きく有する(可能なら100倍程度)化合物を得ることが理想である。今後さらに化合物の合成展開は継続し、よりRAS系への作用が強く、胎児毒性が低く、PEに対する治療効果の高い薬剤を得ることが将来の課題である。本検討で得られた、化合物の物質特性について特許の出願を視野に入れている。
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