2021 Fiscal Year Research-status Report
miRNA/TLR7を介した聴覚伝導路異種細胞間クロストーク解析と新規治療戦略
Project/Area Number |
19K09899
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 賢 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80534528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50286556)
高橋 宏知 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (90361518)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | エクソソームmiRNA let-7b / 異種細胞間コミュニケーション / 内耳細胞過興奮性細胞死 / CMOS-MEA / ミスマッチ陰性電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、エクソソーム(exo-)miRNAlet-7bが過興奮性内耳細胞死を誘発することを明らかにしてきた。一方で、マウスの大脳皮質聴覚野において、連続的同一刺激(標準刺激)を提示する間に,異なる刺激(逸脱刺激)を与えた場合に発生するミスマッチ陰性電位 (MMN)を、exo-miRNA let7-b曝露神経細胞において計測した場合、聴覚障害が時空間認識に及ぼす影響の細胞レベルでの評価モデルになると仮説を立て、本研究を行った。 胚齢18日目の ウィスターラットの大脳皮質領域から摘出した神経細胞から樹立した初代培養神経細胞をCMOS-MEA上で分散培養した。神経細胞の逸脱検出応答を評価する目的とした刺激パラダイムとして、高頻度に提示される標準刺激と低頻度ランダムに提示される逸脱刺激から構成されるオッドボールブロックと、刺激頻度が同じ複数の刺激パターンの多統制群ブロックを使用した。応答の刺激選択性を評価することを目的として、逸脱刺激に対する応答が標準刺激に対する応答より大きくなる性質を利用したSSAI(Stimulus-Specific Adaptation Index)を指標とした。応答の刺激選択性を評価する目的にて、誘発応答を一次応答(刺激後10ms)と二次応答(刺激後30ms以降)に分類し、各刺激後タイムヒストグラム(PSTH)の最大値より一次応答と二次応答の逸脱/多統制群刺激のSSAIを計算し、細胞レベルでの記憶・時空間認識モデルとした。Exo-miRNA let-7b曝露初代培養神経細胞における1次応答ではいずれの条件でも有意差が消失し、2次応答において、刺激点に重複の無いセッションでの逸脱刺激の応答は有意に減少した。この結果は、内耳細胞過興奮性細胞死を誘導するexo-miRNA let-7bが、記憶・時空間認識の低下にも影響を及ぼす可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々は、内耳細胞過興奮性細胞死を起こすexo-miRNA let7-b曝露神経細胞において、マウスの大脳皮質聴覚野に発生するミスマッチ陰性電位 (MMN)を計測し、聴覚障害が時空間認識に及ぼす影響の細胞レベルでの評価モデルを構築した。しかし、この貴重なデータの再現性の確認と、異種細胞間コミュニーケーションのドライバー遺伝子の探索に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
exo-miRNAlet-7b導入初代神経培養細胞と内耳感覚細胞HEI-OC1細胞の各培地から各エクソソームを単離し、内耳感覚細胞HEI-OC1細胞由来のエクソソームが、神経細胞ネットワークに与える影響と、神経培養細胞由来のエクソソームが内耳感覚細胞に与える影響について検討するため、exo-miRNAlet-7b導入初代神経培養細胞のRNAシークエンスを行う。また、exo-miRNAのプロファイリングを行いアストロサイトの活性化とグリア瘢痕形成を促す可能性、マクロファージ活性化と内耳感覚細胞死を誘導する可能性のあるmiRNAを検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究で行ってきた記憶・時空間認識モデルの裏付けをするための再現実験と、ドライーバー遺伝子の検索が必要であったが、2021年度末までには終了しなかった。次年度使用が研究費使用計画は、前述した研究推進方策に基づき、RNA シークエンス、exo-miRNAのプロファイリングの受託サービス使用、アストロサイト培養細胞KT-5の購入、オートファジーを中心とした神経細胞死シグナル解析を蛋白質レベルで行うためにwestern blot用の抗体、消耗品の購入、グリア瘢痕形成の分子シグナル解析用の免疫染色用抗体と、その他消耗品の購入、tRNA抽出用キット購入、RNAseqによる解析に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)