2020 Fiscal Year Research-status Report
既存薬や神経栄養因子シグナルを活用した視神経の保護と再生療法
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19K09943
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
原田 知加子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (20435720)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 緑内障 / 視神経保護 / 視神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における失明原因の多くは網膜および視神経の変性疾患で占められる。特に最大の失明原因である緑内障に対しては、眼圧降下以外の手法による治療法の開発が期待されている。本研究では網膜神経節細胞の変性モデル動物や視神経挫滅モデル動物を用いて、既存薬や遺伝子治療などを駆使した視神経の保護と再生療法の効果を検討する。 これまでに活性型TrkBのAAVベクターを正常眼圧緑内障の疾患モデルマウスに投与し、網膜神経節細胞の保護効果を得られることを確認した。また同ベクターを視神経挫滅モデル動物に投与した場合には、網膜神経節細胞の保護に加えて、大変強い視神経軸索の再生効果が得られることを見出した。さらに軸索に加えて樹状突起についても保護効果が観察され、網膜神経節細胞と双極細胞とのシナプス数についても、治療群で有意に増加することを確認した。治療群の中には、一部の視機能が改善する個体も観察され、効果が期待される結果となった。 一方、視神経挫滅モデルマウスにRho-ROCK阻害剤を点眼すると、この場合にも網膜神経節細胞の保護効果と視神経軸索の再生効果が確認された。点眼群ではRho-ROCKシグナル経路の下流で微小管重合を抑制するCRMP2、およびアクチンフィラメントの脱重合を促進するcofilinが、いずれも脱リン酸化されていた。以上からRho-ROCK阻害剤の点眼は神経保護効果に加えて、軸索再生効果を有する可能性があることが示唆されたので、論文発表を行った。 また抗酸化療法による緑内障治療の可能性に関する総説を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、遺伝子治療や視神経再生に関する研究が計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
視神経の保護および再生効果の定量化を行い、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
消耗品費用の節約等により、僅かではあるが残金が生じた。来年度の物品費として活用予定である。
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Research Products
(7 results)