2021 Fiscal Year Research-status Report
CD302の新機能:破骨細胞の分化制御とその機構及び骨・軟骨代謝研究への展開
Project/Area Number |
19K10053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10432650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CD302 / 細胞接着 / 細胞死 / 一次繊毛 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに軟骨細胞および骨芽細胞におけるCD302の発現と細胞密度による発現の変化について示してきたが、この研究をさらに進めてるCD302の発現の抑制が骨芽細胞にどのような影響をもたらすかについて 解析したところ、細胞数が顕著に減少した。この結果を受けてCD302抑制細胞におけるアポトーシスについて調べるためCaspase3/7の活性化を指標として検証したところ、CD302発現抑制細胞群ではアポトーシス陽性細胞率が上昇していることが分かった。このことからCD302発現抑制による細胞数の減少はアポトーシスの誘導がその原因の一つであると考えられる。そこでCD302と細胞死に関してさらに詳細に調べるため細胞内のシグナル伝達経路に着目し、CD302発現抑制細胞群では無処理細胞群に比べて細胞内でのFAKおよびAktのリン酸化が低下していることを明らかにした。Aktは細胞生存シグナルと呼ばれており、FAKは細胞接着刺激によって活性化することが知られている因子である。この結果はCD302が細胞接着に何らかの形で寄与していることを示唆している。さらに、acetyl-alpha tubulinの細胞蛍光免疫染色によりCD302の発現を抑制した細胞群において一次繊毛形成が如実に減少していることが分かった。CD302がどのような分子を介してこれらの現象を引き起こしているのかについて探求するため、各種のデータベースを用いてCD302と関連が示唆されている分子について調査したところ、FNDC9 (Fibronectin Type III Domain Containing 9)およびARL13Bと結合する可能性があることが分かった。前者は細胞接着に関する因子であり、後者は一次繊毛に局在し、その指標ともされている因子の一つである。今後はこれらの因子とCD302の関わりを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は骨芽細胞におけるCD302の発現および役割の解明に集中的に取り組んだ結果、細胞生存維持や細胞接着、一次繊毛との関わりを明らかにし、その成果について学会で発表した。しかし、前年度に引き続き感染症蔓延のためその対策等の業務が増えたことと、主な実験場所である岡山大学歯学部棟の改修工事のため一定期間研究を停止せざるを得ない状況にみまわれたことから予想よりも進展が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果から細胞接着および一次繊毛形成においてCD302が何らかの役割を担っている可能性が考えられる。データベースを用いてCD302関連分子を検索した結果、細胞接着に関与する分子としてFNDC9 、一次繊毛形成に関与する分子としてARL13BがCD302結合因子の候補として想定できるので、これらの因子とCD302との結合を調べ、CD302が機能を発揮する上でそれらの結合がどのような役割を担っているのか明らかにする予定である。これによってCD302の役割とその機能を発揮するためのメカニズムについて示すことが出来る。
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き感染症蔓延のためその対策等の業務が増えたことと、主な実験場所である岡山大学歯学部棟の改修工事のため一定期間研究を停止せざるを得ない状況にみまわれたことから予想よりも進展が遅れてしまった。 今年度はCD302結合因子の候補として予想されている細胞接着に関連分子であるFNDC9 、一次繊毛構成分子としてARL13BとCD302との結合を調べ、CD302が機能を発揮する上でそれらの結合がどのような役割を担っているのか明らかにする実験を予定しており、その経費として残額を使用する必要がある。また、最終年度であることからこれまでの成果をまとめて学会発表および論文発表を予定しており、そのための経費としても用いる予定である。
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Research Products
(4 results)