2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K10201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白石 成 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60585355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
那小屋 公太 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10806491)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 摂食嚥下 / 慢性実験 / 自由行動下 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳血管疾患や末梢神経・血管損傷モデル動物を対象として,無麻酔無拘束下における摂食運動時の神経筋活動の記録を通して,疾患がもたらす摂食嚥下運動への影響やその後の機能回復がもたらす機序を神経生理学的に明らかにすることを目的としている. 令和元年度の研究計画では,コントロール動物の記録法を確立した後に,末梢神経ならびに血管損傷モデルの記録を行う予定であった.本研究の特徴である,無拘束ラットでの摂食嚥下運動の記録のために,咀嚼筋群や舌骨下筋群に筋電図記録用の双極電極を留置し,一定期間,安定した筋電図記録が行える実験系の確立を目指した.特に,嚥下タイニングの同定には甲状舌骨筋からの筋電図波形の獲得が重要である.また,脳血管障害モデルの作成についても実施していく.. 咀嚼筋群や舌骨下筋群からの安定した筋電図記録獲得には時間を要したが,固形物飼料摂取時では,咀嚼中の咀嚼筋群筋活動やその後の嚥下運動に至る一連の摂食嚥下運動の記録が可能となった.しかしながら,ラットの固形物摂取と飲水行動に対する訓練方法に改善の余地が残った. 脳血管障害モデルについては,作成方法について様々な報告がされているが,本研究では,中大脳動脈塞栓モデルを採用することとした.このモデル作成には,外頸動脈の結紮が前提である.外頸動脈は咀嚼筋群の栄養血管であるため,まず外頸動脈結紮が,咀嚼筋群に及ぼす影響を調べた.本研究の実験期間では,筋電図レベルでの差は見られなかった.さらなる影響を調べるために組織学的観察が必要であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コントロール動物に対する記録法の確立に時間を要したため.また,外頸動脈結紮モデルでの評価に時間を要したため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,末梢神経ならびに血管損傷モデルでの自由摂食の記録を始める予定である.まずは昨年度に検討を始めた外頸動脈結紮モデルについて,データ収集およびデータの解析を継続して取り組んでいく.具体的にはN数の増加と組織学的な評価を行い,外頸動脈の遮断による咀嚼筋群,とりわけ咬筋の萎縮に与える影響を確認する.この実験系と平行して,中大脳動脈塞栓による脳血管障害モデルの作成・確立を実施していく予定である. また,上記の実験に目処がついた段階で,大脳からの神経活動記録の実験を開始したい.大脳皮質に電極を挿入し,覚醒下での神経活動を記録するである.ターゲットは,具体的には,大脳皮質咀嚼野,一次運動野顎顔面領域(face-M1),一次体性感覚野(face-S1)を検討している.
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関が変更となり,研究の再セットアップに時間を有し消耗品の購入が計画より減少したため差額が生じた.動物実験の進捗に伴い,問題なく使用できると考える.
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