2019 Fiscal Year Research-status Report
誤嚥性肺炎患者の経口摂取可否を客観的に診断するための科学的根拠の確立
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19K10207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光由 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (50284211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真理子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (80613041)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 摂食機能評価 / 嚥下内視鏡検査 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規に摂食機能評価を実施した患者を順次登録しながら、申請者が過去1年間に摂食機能評価を行った患者に対する後ろ向き調査を行った。その結果、対象者である75歳以上の高齢者117名中誤嚥性肺炎と診断されていた者は44名(37.6%)であった。起炎菌は半数以上が不明であり、広域スペクトラムをもつ抗菌剤による点滴治療が行われていた。誤嚥性肺炎と診断された44名中35名(79.5%)に対して摂食嚥下評価ならびに摂食指導を実施した。方法は、嚥下内視鏡検査により誤嚥、咽頭残留の有無等を確認したうえで、適切な食事形態を決定し、その後週に1回頚部聴診を用いながら食事観察を実施することで経過観察を行いながら食形態の調整を実施した。その結果、退院時の栄養補給経路は、経口摂取のみが19名(54.3%)、PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)による者が8名(22.9%)、PEG(経皮内視鏡的胃ろう増設術)を受けた者が5名(14.3%)、末梢点滴のみによる終末期対応となった者が3名(8.6%)であった。 後ろ向き調査の結果から、肺炎治療において摂食嚥下評価ならびに摂食指導を行った群における抗生剤投与期間や炎症反応の改善に要する期間の短縮といった治療上の有意性は見いだせなかった。現在、当病院に誤嚥性肺炎で入院してきた患者を順次登録しており、この1年間に30名程度となった。これらの摂食嚥下機能評価を主としてベッドサイドで行い、必要に応じて嚥下内視鏡検査を実施している。経口摂取不可能と判断したものは2名に過ぎず、経口摂取困難と考える理由を検討していくうえでは、引き続き患者数を増やしていくしかない者と考えている。また期間中に再度入院してきた患者の再評価等も加えていく中で、経口摂取困難と判断できうる因子について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査を行っている広島市立舟入市民病院は、第二種感染症指定医療機関であり、今回の新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、通常の肺炎患者の入院制限が実施されており、2020年3月より摂食機能評価を行う患者数が減少してきており、この状況は今後しばらく継続することから、研究の遂行が困難となることも想定される。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の状況次第ではあるが、現状では、本病院での摂食機能評価を継続していく中で、入院患者を連続症例として登録していくことを継続していく。入院中の経過ならびに退院時の経口摂取の状況、再入院等について追跡調査を行うことで、経口摂取困難と診断された理由について調査を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究遂行上どうしても必要であった嚥下内視鏡用のカメラをレンタルしたため、その経費を3年間にわたって分割払いするために、今年度の費用を一部翌年度に持ち越している。
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