2020 Fiscal Year Research-status Report
誤嚥性肺炎患者の経口摂取可否を客観的に診断するための科学的根拠の確立
Project/Area Number |
19K10207
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光由 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (50284211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真理子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (80613041)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / ミールラウンド / NST / 嚥下内視鏡検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本呼吸器学会の成人肺炎診療ガイドラインでは、易反復性の誤嚥性肺炎のリスクがある場合は積極的な治療を行わず、個人の意思やQOLを考慮した治療やケアを実施することを提言している。しかしながら、どのような状態で経口摂取を継続すると誤嚥性肺炎を繰り返すことになるのかについては、これまでまったく明らかとされていない。そこで、医療介護関連肺炎により誤嚥性肺炎になった患者の経口摂取状況を継続的に評価しながら、経口摂取が出来ない理由や再発しやすい要因について検討した。調査対象とした本病院は、新型コロナ感染症の専門病床となったため、1病棟が全く稼働せず、その結果、今年度の誤嚥性肺炎による入院患者は27名に過ぎなかった。急性期治療を脱して、食事開始となった時点でこれらの患者の摂食嚥下機能評価を主としてベッドサイドで行い、必要に応じて嚥下内視鏡検査を実施した。内訳は、男性15名、女性12名で、平均年齢は79歳(50~99歳)であった。入院中は毎週1回、昼食時に看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士らとミールラウンドを行い、食事形態、食事姿勢、摂食介助方法などを指導しながら、退院まで経過観察を行った。退院までの間に死亡された者が3名おられたもののそれ以外の24名では1名を除き何らかの形で経口摂取は継続できた。退院先はこの経口摂取が中止となった1名を含めた7名が療養型医療施設へと転院となったもののそれ以外は自宅もしくは施設へと退院できた。一方で、1名はすぐに誤嚥性肺炎を再発して再入院となった。現状では、経口摂取中止や誤嚥性肺炎再発となった者はわずかではあるがあり、これらの者の状況について詳細に再検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査対象としていた本病院が、新型コロナウィルス感染症対策のための専門病床となり、誤嚥性肺炎で入院されてくる患者が激減したため、十分な対象者を獲得することができなかった。また、研究協力を依頼していた内科医師が、新型コロナウィルス感染症の治療に専念となったため、院内での調査体制が機能しなくなってしまった。今年度も新型コロナウィルス感染症次第で調査がどの程度出来るかは不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症次第でどの程度の患者を集めることができるかわからないが、継続して誤嚥性肺炎で入院してきた患者への摂食機能評価、ミールラウンドを継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い学会等がすべてWEB開催となり、研究成果の発表の場がなくなったため、旅費等の支出がなく、次年度に持ち越している。今年度もこの状況が続くものと思われるが、学会発表はもちろん論文発表を早めに行うことで予算を執行していく予定である。
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