2021 Fiscal Year Research-status Report
進行性神経変性疾患におけるQOL向上型口腔機能評価法の開発
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19K10233
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
島田 明子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00452871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小見山 道 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (60339223)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔機能評価 / 進行性神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病(PD)は、加齢に伴い有病率が上昇し、摂食嚥下障害を伴う進行性神経変性疾患であり、重症化に伴い患者は胃瘻設置を余儀なくされるが、その設置時期について、現在標準化された臨床基準は存在しない。この現状は患者にとって、尚早な胃瘻設置による不要なQOL低下や、設置の遅延による低栄養や誤嚥性肺炎などのリスクがあることを意味する。本研究の目的は、そのようなリスク回避のための歯科的アプローチによる進行性神経変性疾患患者における『口から食べる』機能の維持・管理である。 2021年度は、健常者男性30名において、グミ咀嚼、空嚥下および水嚥下タスク遂行中の咀嚼運動(咀嚼筋筋電図)と嚥下運動(舌骨の加速度ピックアップ)の協同の経時的観察を行った。また、異なる咀嚼時間を設定し、グミを用いて咀嚼効率テストを実施した。 その結果、咀嚼時間の制限は咀嚼筋活動量増加や一回の咀嚼にかける時間延長という咀嚼筋活動にのみ有意な効果を示した一方で、嚥下機能には影響を与えなかった。また、食品形状の変化は,嚥下筋活動量減少という嚥下筋活動にのみ有意な効果を示し、嚥下機能に影響を与えた。 感覚機能については咀嚼嚥下機能に重要な役割を果たしている舌をターゲットとし、定量的感覚検査(Quantitative Sensory Testing: QST)による評価を行った。健常者男性30名に対し、舌の表面麻酔下で咀嚼効率テストおよびQSTを行い、咀嚼から嚥下までの一連の口腔機能について運動機能と感覚機能との関連を検索した。咀嚼効率テストもベースライン同様に実施する。この結果により、舌の感覚が咀嚼嚥下機能へ及ぼす影響を考察していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度で健常成人のデータ収集に関しての全データの収集が終了したため、順調に研究の遂行ができていると言える一方で、前年度に引き続き、COVID-19の蔓延の影響により、患者データの収集が困難な状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在収集している健常者でのデータについては、学会発表や論文投稿の準備を進めつつ、患者のリクルートについては、協力機関でのデータ収集が可能になり次第、迅速に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、COVID-19の蔓延の影響により、予定していた消耗品費の支出が不要であったため。延期となっていた研究成果発表のための旅費に充てる予定である。
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