2019 Fiscal Year Research-status Report
進行性下顎頭吸収の新規治療法の開発に向けた生物学的メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K10257
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野上 晋之介 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70573575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60226850)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 進行性下顎頭吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の特色は、未だ解明されていないPCRの病態解明を目的に、われわれがすでに確立した「 卵巣摘出した家兎の下顎頭吸収モデルの技術」(JSPS科研費16K20434)を用いて、まず卵巣摘出した家兎の顎関節腔にOVAを注入し顎関節炎を発症させ、その顎関節部にメカニカルストレスを与え、より臨床に近いPCRモデルを作製することである。 まず卵巣摘出家兎の顎関節炎の誘発を行う。実験動物には生後4~6か月、体重3.0~3.5kgの卵巣を摘出した雌の家兎( 日本白色種)、計60羽を使用するが、今年度は8羽行った。感作としてフロイント 完全アジュバンドを添加させたOVA抗原液4mg/mlを家兎の上背部の5か所に皮内注射を行い、2週後にもう一度同様の皮内注射を行った 。その5日後に惹起として、40μg/100μlのOVA溶液を皮内注射し、24時間後の紅斑や腫脹の直径が16mm以上ある場合を陽性とした。その後、顎関節部の上関節腔内に4mg/0.2mlのOVA溶液を注射し顎関節炎を誘発させた。OVAを顎関節腔に注入し顎関節炎を発症させた卵巣摘出家兎に塩酸ケタミン60mg/kg筋注とペントバルビタールナトリウム0.35mg/kg緩徐静注による全身麻酔を施した。顎下部正中切開で下顎骨下縁を露出させ、皮質骨骨切りはオトガイ孔と第一臼歯間で行った。骨切り部位から対称的にキルシュナーワイヤーを経皮的に貫通させ、結紮線と 即時重合レジンによって自作製延長装置と固定すした。前方へ延長させたものを下顎頭部の圧縮群、後方へ延長させたものを伸展群の2群に分けた。各群、待機期間を設けず7日間で計3.5mmの延長を行った。各群延長終了直後、1週後、2週後、4週後に1羽(2側)ずつ計8羽(16側)の試料(滑液・ 下顎骨)採取した。下顎頭部の骨吸収を画像検査・ 組織学的検査による検証は今後行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OVAを顎関節腔に注入し顎関節炎を誘発させたモデルを作製することは予定通りであるが、画像検査・組織学的検査において定量的な評価が行えていないことは、やや遅れていると評価せざるを得ない。その理由としては標本の画像撮影および組織学的標本作製時点での時間が予想よりも多く時間がかかったことが原因と考えられる。そのため2020年度はより効率的な時間調整を行い実験を予定通り進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況は大きくは遅れていないため研究計画の変更は必要ないと考えている。また2020年度に予定している内容にも実験を遂行するにあたり支障はないと考えられるため、画像検査および評価さらに組織学的検査と評価を計画的に行う予定である。画像検査ではマイクロCTを用いて下顎頭前面部の骨吸収の範囲と深さを評価する。前面部の範囲は3D構築することで視覚的に評価する。骨吸収の深さは矢状断でのCT画像を参考に評価する。組織学的評価に用いる染色は2020年度はHE染色、エラスチカ・マッソン染色、TRAP染色を用いて評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
該当なし。
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