2021 Fiscal Year Research-status Report
顎骨骨髄炎発症要因における歯原性細胞と細胞極性調節因子相互作用の解析
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19K10270
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石畑 清秀 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (10437957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
小松澤 均 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90253088)
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
柚木 寿理 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (80815621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顎骨骨髄炎 / 歯性感染症 / 骨分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨骨髄炎は抗菌化学療法が進歩した現代においても,歯科領域では難治性の感染症と認識され,広範囲な顎骨切除が選択される場合も少なくなく,その原因 は,歯性感染からの炎症の波及と言われているが,詳細な発症機序については明らかにされていない.本研究では,顎骨骨髄炎発症における歯原性上皮・間葉系 細胞と骨リモデリングの関連性を解明し,顎骨骨髄炎に対する新たな治療戦略に必要な知見を得ることを目的としている.本研究を遂行するため,歯性感染症病 変・骨髄炎摘出切片ならびに,歯原性上皮細胞株,間葉系線維芽細胞を用いて,細菌感染環境下における細胞性質変化と骨分化マーカーの発現解析を行い,歯性 感染症と顎骨の病態変化との因果関係について検討する. 方法:感染環境下における,歯原性細胞と顎骨骨髄炎発症過程との関与を検証するため,歯性感染症に おける骨代謝マーカーの発現解析を行った.マウス骨芽細胞株を骨分化培地上で培養,黄色ブドウ球菌由来LTA添加後,各培養時間で,その動態を観察した.その 結果,転写因子:Sp7, ATF4は低濃度で発現増強,骨分化マーカー:ALPはLTAによって発現増強,BSP,OCNは高濃度で発現抑制された. さらには,OPGは低濃度LTA で発現増強,高濃度で発現抑制され,石灰化は,低濃度LTAで促進,高濃度LTAはで抑制された.骨分化誘導をかけない環境下で,LTA単独刺激では,低濃度で は,転写因子の早期の発現増強,骨分化マーカーの発現増強,破骨細胞抑制因子の発現増強を認めた.高濃度では,転写因子の後期の発現上昇,骨分化マーカー のうち,ALPの発現上昇が確認されたが,OCNの発現上昇は認めなかった.また,各種サイトカインの発現に関しては,低濃度での発現上昇を確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨芽細胞を用いた実験系にて,石灰化能の変化,各種骨分化マーカーの発現解析を複数回遂行し,濃度検証実験,さらには他の骨分化マーカーの発現に関して も随時,実験遂行中で結果も得,学会発表にて成果報告を行ってきた.今後,経路解析を含めた実験系を開始していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
1)PCR,real time PCRならびに免疫組織染色を用いて,骨芽細胞株に対する感染刺激によって,各種マーカー(Sp7,ALP,OCN,OPN,BSP,RANKL,OPG)の発現を 観察する. また,感染暴露の条件設定を調整しながら,進めていく予定である. 2)骨分化促進機構がいかなるシグナルを介しているか検証するために,骨分化に関連することが知られている各シグナル経路(JNK)の促進,抑制系の実験を行 う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響によって,学会開催がWeb開催へ移行したことから,旅費の計上がなかったことが要因の一つとして挙げられる.今後,予算残高については,研究用の物品補充や,論文作成のための校正料,投稿料に当てる予定である.
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Research Products
(1 results)