2023 Fiscal Year Research-status Report
G-CSFは薬剤関連顎骨壊死を救えるのか?-マウスによる検討
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19K10280
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学研究院, 特任教授 (80180066) [Withdrawn]
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10322819)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯学 / 薬剤関連顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症治療薬の副作用で生じる薬剤関連顎骨壊死(Medication-related Osteonecrosis of the Jaw; MRONJ)の予防法・治療法を確立するため、顎骨壊死発症モデルマウスに対して、G-CSF(granulocyte-colony stimulating factor:顆粒球コロニー刺激因子)を用いた予防・治療が可能なのか、検討を行うことが目的である。 サイトカインの産生や主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)に依存しない抗原認識により自然免疫と獲得免疫の両方に関与しているγδT細胞は、ビスホスホネート製剤によって活性化し、活性化したγδT細胞は細胞障害性を示すことが知られている。一方、制御性T細胞は過剰に活性化した免疫細胞を抑制する作用があり、その標的の免疫細胞の一つがγδT細胞である。 γδT細胞の動態についてフローサイトメトリー分析を行ったところ、抗マウスRANKLモノクローナル抗体単独投与群ではγδT細胞の増加が確認された。一方、メルファラン単独投与群では、γδT細胞は有意に減少していた。しかし、併用投与群では、制御性T細胞が減少しているにもかかわらず、γδT細胞数は有意に増加していることが判明した。 以上の結果から、我々のMRONJ発症マウスモデルでは、メルファランの副作用で制御性T細胞の機能が低下し、さらに抗マウスRANKLモノクローナル抗体により刺激されたと推定されるγδT細胞が増殖・活性化し、この活性化したγδT細胞による過剰な免疫反応の結果、薬剤関連顎骨壊死が発症したものと推察された。したがって、G-CSF製剤による制御性T細胞の増加が文献で報告されていることから、制御性T細胞の機能を回復することで薬剤関連顎骨壊死を改善・緩和が可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度は当初の計画からの遅れは取り戻すことはできなかったが、順調に計画を進めている。当初の計画を行うため、補助事業期間のさらなる再延長の承認申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は遅れているが、順調に計画を進めている。令和6年度は最終年度にあたるので、研究計画を完了できるようにする。
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Causes of Carryover |
研究計画は遅れているが、多くの研究計画が実行された。令和5年度の未使用額428,901円が発生したが、未使用額は、結果の再確認のための抗体などの消耗品購入、成果発表等に使用する。
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