2023 Fiscal Year Research-status Report
PRL-3による口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K10308
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 祥子 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00616047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (00170663) [Withdrawn]
志茂 剛 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40362991)
村瀬 友里香 岡山大学, 大学病院, 助教 (70803708)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PRL-3 / 口腔扁平上皮癌 / 顎骨浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
PRL-3は、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮頸癌など様々な癌組織で不良な予後予測因子になると報告されているが、これまでの我々の研究では、比較的良好な予後が予測される高分化型および低浸潤型の口腔扁平上皮癌組織においてPRL-3が高発現しており、PRL-3は口腔扁平上皮癌の分化および浸潤を抑制する可能性がある。さらに、歯肉扁平上皮癌の顎骨切除標本において、骨髄および皮質骨への浸潤がある症例では、顎骨への浸潤を認めない症例と比較してPRL-3が低発現の傾向があり、PRL-3が顎骨浸潤も抑制することを示唆しており、PRL-3が顎骨浸潤の早期診断マーカーとなることが期待できる。 これまで当教室では、ニューロキニンB受容体(NK-3R)が、破骨細胞においてヘッジホッグシグナルにより誘導されること、歯肉扁平上皮癌細胞とその骨浸潤前線の破骨細胞に発現することを報告している。本研究では、歯肉扁平上皮癌の顎骨切除標本においてNK-3Rの発現は顎骨浸潤と正の相関を認め、NK-3R陽性破骨細胞数は、顎骨浸潤を認める症例において有意に多かった。以上より、NK-3Rは、破骨細胞においてヘッジホッグシグナルにより誘導され、歯肉扁平上皮癌の顎骨浸潤に影響を及ぼす可能性が示唆された。そこで、PRL-3とNK-3Rの発現に負の相関関係が認められると予想したが、今回の検討では明らかな関連は認められなかった。 また、PRL-3は口腔扁平上皮癌の分化および浸潤を抑制するという知見をもとに、分化および浸潤過程に関与する上皮間葉転換(EMT)に着目した。ヒト口腔扁平上皮癌細胞株においてPRL-3は、EMTの過程で消失することが必須のE-cadherinと同様の発現パターンを示すことから、EMTのマーカーとPRL-3の関連について検討を行ったが、PRL-3の発現に明らかな相関関係は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度から当教室の改修工事やCOVID-19感染症の流行に伴い研究活動に遅れがでていたため、本年度も当初の計画より遅れている。PRL-3が骨浸潤へ及ぼす影響について解析している途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
PRL-3が破骨細胞や骨髄間質細胞へ及ぼす影響について解析していく。 破骨細胞の形成能および骨吸収活性能を調べる。破骨細胞誘導因子RANKLの発現、破骨細胞形成抑制因子OPGの発現を調べる。
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Causes of Carryover |
本年度に実施予定であったマウス骨浸潤モデルの実験が遅れており、次年度に支出する。 また、破骨細胞においてヘッジホッグシグナルにより誘導され、歯肉扁平上皮癌の顎骨浸潤に影響を及ぼす可能性が示唆されたNK-3RとPRL-3の発現に明らかな関連は認められなかったが、引き続き検証していく。
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