2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌に対する免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫温熱療法
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19K10330
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 憲幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 温熱療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / レーザーサーミア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害剤の出現により固形癌に対する治療も変わりつつある。しかし、温熱療法とこれらの併用による基礎的な研究報告はほとんどない。本研究は、口腔癌に対する半導体レーザーによる温熱療法と免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との併用療法の効果及びその作用機序の解明することである。昨年度は動物実験モデル(両側背部皮下腫瘍モデル,肺転移モデル)を作成し抗温熱療法をPD-L1抗体併用の抗腫瘍効果の検討を行った.治療した腫瘍はコントロールに比較し優位に抗腫瘍効果を認めた.また,未治療側あるいは肺転移巣の腫瘍もコントロールに比較し腫瘍は縮小しアブスコパル効果を認めた. 本年度はin vitroにおけるPD-L1抗体併用温熱療法の抗腫瘍効果の機序について実験を行った.SCCⅦ細胞株を用いて加温を37℃,39℃,41℃,43℃,45℃にして1時間培養し,アポトーシスや増殖能を確認したところ43℃以上でアポトーシス細胞の割合が増加し,増殖能は43℃以上では減少した。フローサイトメトリーでSCCVIIのPD-L1発現の変化を確認したところ43℃以上でPD-L1は増加した.MHC-1の発現は37℃に比較し43℃では上昇した.動物モデルから摘出した腫瘍と脾臓のフローサイトメトリーの条件検討を行ない,適切な条件設定を確認した.①抗PD-L1抗体投与群,②温熱療法群,③抗PD-L1抗体併用温熱療法群でTNFα,TGFβ1,IFNγの発現をみたところ③においてINFγの発言の上昇を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は動物実験モデルを作成し免疫チェックポイント阻害剤併用温熱療法の効果を確認した.本年度はin vitroにおけるそれらの作用機序を検索した.in vitroにおけるレーザーを用いた温熱療法のモデル作成に時間を費やしたが,腫瘍と脾臓のフローサイトメトリーの条件検討を行なった.適切な条件設定を確認した.最終年度に検索する条件設定が終わり順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は温熱療法と免疫チェックポイント阻害薬の作用機序をin vitroにて条件設定しこのメカニズムを明らかにした. 現在,昨年作成した2つの動物実験モデル(両側背部皮下腫瘍モデル,肺転移モデル)でPD-L1併用温熱療法の抗腫瘍効果の確認を行なっている.
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Causes of Carryover |
in vitroの実験が主であり動物の購入費,飼育費などの費用の支出がなかったため. 本年度は実験動物の購入,飼育費などに充てる.
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