2021 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌に対する免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫温熱療法
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19K10330
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 憲幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 温熱療法 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 半導体レーザー / アブスコパル効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,免疫チェックポイント阻害剤の出現により固形癌に対する治療も変わりつつある.しかし,温熱療法とこれらの併用による基礎的な研究報告はほとんどない.本研究では,半導体レーザーを用いた温熱療法と免疫チェックポイント阻害薬との併用療法の抗腫瘍効果と腫瘍微小免疫環境にあたえる影響を検討した.本年度は,動物実験モデル(両側背部皮下腫瘍モデル,肺転移モデル)を作成し抗温熱療法をPD-L1抗体併用の抗腫瘍効果の検討を行った.マウスモデルの温熱処理した腫瘍細胞をフローサイトメトリーで解析したところ骨髄系細胞の割合が低下,T細胞の割合は上昇した.CD4陽性T細胞,CD8陽性T細胞ともに比率が上昇した.CD4陽性細胞においてPD-1陽性率が低下した.CD45陰性細胞,骨髄系細胞でPD-L1発現強度が上昇した.温熱療法後の腫瘍微小免疫環境で,細胞障害性T細胞の増加とPD-L1発現強度上昇がみられた.Anti-PD-L1群とAnti-PD-L1と温熱療法併用群で肺転移数が減少した.Anti-PD-L1群とAnti-PD-L1と温熱療法併用群の間に差はなかった. これまでの研究結果から①半導体レーザー照射により腫瘍の温度が上昇し43℃で維持され腫瘍の増大は抑制された.②温熱療法により腫瘍細胞と骨髄系細胞のPD-L1発現が上昇した.③温熱療法により腫瘍微小免疫環境で,細胞障害性T細胞の増加とPD-L1発現強度上昇がみられた.④HTの抗腫瘍効果は単独治療では照射側にのみにみられ,抗PD-L1+温熱療法併用群ではアブスコパル効果が得られた.⑤肺転移の抑制効果は抗PD-L1群と抗PD-L1+温熱療法併用群で同等であった.
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