2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive study of " Physician as a double agent" argument
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19K10510
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80372366)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダブルエージェント / 医療資源配分 / 医療倫理 / 医師患者関係 / 分配的正義 / double agent / ラショニング / rationing |
Outline of Annual Research Achievements |
医療資源が逼迫する中で、医師-患者関係も大きな影響を受けている。医師は、患者の側にだけ立って医療を行うべきか?あるいは社会の要請を体現して、医療資源配分にコミットすべきか?という二つ立場の間で、その行動規範が揺れている。このジレンマは、 「『医師』=Double agent」論と呼ぶが、医師として対立するこうした二つの立場を前提にして、稀少な医療資源の配分 における医の倫理(医師の行動規範)の諸課題を検討することが、本研究の目的である。 本年度は、「医師=Double agent」論に関するシステマティック・レビューを行った。Pubmedを用いて、1960年~2019年で「double agent」&「physician(doctor)」のキーワードで検索したところ、15文献が該当した。初出は、Burnum JF (“The Physician as a Double Agent” NEJM 1977)と思われた。そこでは、現在にも通じる「高齢者の運転能力」「生命保険加入」「入学前健診」といった患者の要望と社会の要請のジレンマが取り上げられている。しかし当該論文が書かれた主たる動機は、PSROという医師達が同僚の診療内容を審査する委員会の活動に対する疑問であり、①individual careと②stewardship of resources of societyの間で痛みを伴う選択をせざるを得ない医師の立場を「double agent」と呼んでいる。その後は、1990年代のいわゆるManaged Careの潮流の中で、患者の代理人のように見えて実は保険会社の代理人として振る舞わざるを得ないジレンマについて、論じる論文が複数みられるようになる。ここでは社会の代理人というよりも、直接的に営利企業の判断に従わざるを得ないより強いジレンマが生じていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度後半には、「医師=double agent」論に関して、医師を対象とするフォーカスグループ・ディスカッションを予定してた。診療科、年齢、医師としての 経験年数のバランスに配慮した医師のグループを、機縁法にて形成することとしていたが、十分なリクルートが行われる前に、新型コロナ禍に遭遇し、グループ形成そのものが頓挫している。
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Strategy for Future Research Activity |
本来の形での、フォーカスグループ・ディスカッションは当面施行不可能と考えているが、一方で、オンライン会議への習熟に伴い、非対面で行うことことの可能性を検討している。それが可能となれば、2年目の後半までに、研究の遅れは取り戻せるものと考えている。ただししばらくの間、医師に研究に協力する余裕はないと思われ、新型コロナ感染症の収束状況を的確に判断しながら、研究をすすめてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に研究成果についてディスカッションを行うこととして、2020年2月29日開催予定の、QOL/PRO研究会及び、3月30日開催予定のISPOR日本部会春季学術集会に出張を予定し、事前に事務申請を行っていたが、新型コロナ感染拡大防止に伴う出張禁止により、この額が執行できなくなった。2020年度は、おそらく出張自粛が続くものとおもわれるので、この次年度使用額は、インターネット調査の費用に充当する予定である。
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