2019 Fiscal Year Research-status Report
病床機能の解析と判別モデル作成による医療機関の役割分担の解明
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19K10538
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉井 健悟 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90388471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 能行 京都先端科学大学, 健康医療学部, 教授 (00191809)
東 あかね 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40173132)
長崎 生光 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50198305)
大井 達雄 和歌山大学, 観光学部, 教授 (10367881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 病床機能報告 / 病床機能分化 / 地域医療構想 / 公的医療データベース / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
地域医療構想は、医療計画の一部として持続可能な社会保障制度の確立に向けて、地域の実情に合わせた病床機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制の構築を目指す取り組みである。これまでに2025年の医療需要と各病床機能の必要量の推定を背景に、病床の転換や整備の議論が行われているものの、病床機能分化は、各医療機関の自主的な判断が含まれるため、現状を正しく反映していない問題点がある。研究代表者らは、全国の病床機能報告データの解析と判別モデルの構築による医療機関の役割分担の解明を目的とする。 本年度はまず、厚生労働省より技術的支援のあった埼玉県の定量的な基準を用いて、全国の病棟を対象に4つの病床機能区分(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を実施し、都道府県別と2次医療圏別の地域性の検討を実施した。地域性の偏りの有無は、病床機能区分割合を算出し、位置情報によるクラスター解析を実施した。クラスター解析には、空間的自己相関係数のひとつであるGetis-Ord Gi* 統計値を用い、最適化ホットスポット分析を行った。その結果、1) 都道府県別では、高度急性期と急性期で東日本においてホットスポット、西日本でコールドスポットが広範囲で示され、回復期と慢性期ではその逆を示した。2) 2次医療圏別では、広域スポットは認められなかった(Studia Humana et naturalia, 2019)。埼玉県の定量的な基準による病床機能区分は、広域でみると東日本と西日本でクラスターが存在したが、2次医療別でみると明らかな空間パターンが存在せず、2次医療圏を超えたこところで、医療機能の役割分担がなされていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らは、全国の病床機能報告の病棟別診療実績のデータセットを用いて、全国の都道府県別、および2次医療圏別の可視化と相互の位置関係についての解析を実施した。本解析において、全国の病床機能割合の地域分布を定量的な基準を用いて示したことで、各都道府県での評価基準を検討する上での参考値となり得ると考えられる。特に、地理的位置情報の活用により、都道府県を超えた分布の集積性の実態を知ることが可能となった点で、今後の病床機能の判別モデル構築に向けた基盤情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、公的医療データと病床機能区分の集積性との関連について空間パターン解析や多変量解析等を実施することで、医療行政と公衆衛生の方面から、医療提供体制の策定に向けた病床機能分化の検討を実施する予定である。全国の病床機能報告に寄与する要因を網羅的に解析することで、各病床が示す傾向や性質を把握し、病床機能分化の判別に有意に寄与する項目の抽出を目指す。同時に地域の医療資源、健康寿命、死因や栄養摂取など公的医療データの利活用を推進し、独自の分析データベース構築を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今年度に情報収集を目的とした旅費を計上していたが、国内学会への参加を実施しなかったためである。次年度の使用計画は、医療提供体制に関する情報収集と公的医療データの整理と解析が最重要事項であるため、各種データの資料整理に必要な人件費と分析に使用するパソコン関連消耗品に充当したいと考えている。
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Research Products
(1 results)