2020 Fiscal Year Research-status Report
一般市民の教育参画システム構築から探索する市民に寄り添う医学教育の質的研究
Project/Area Number |
19K10567
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫村 正美 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00550550)
稲森 正彦 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10381477)
池田 直樹 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (30454713)
亀井 尚也 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (50388732)
早坂 明哲 日本医科大学, 医学部, 助教 (50516094)
大久保 由美子 帝京大学, 医学部, 教授 (80287317)
井上 千鹿子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90453042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PPI / 医学教育 / 模擬患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大学が自律的に社会のニーズを把握し、医学教育に反映させるための「一般市民の声を収集し活用するシステム」構築を目指している。わが国のAMEDにおけるPatient Public Involvement (PPI)の取り組み、英国におけるPPIなど、先行研究を参考にしながら研究者間で「一般市民」の定義付けに関する議論を重ねた。その結果をもとにまず、本研究趣旨に添うと考えられる一般市民候補者6名を研究者らの個人的人脈を通じて選抜した。 選考基準としては、除外基準も含め最終的に以下の6項目を設定した。①医療関係者は除く。②現役のMRや関係業者は利益相反の観点からは微妙である。研究の方向性により途中で外れて頂くか役割を分けるかもしれない。③研究担当者の家族、友人、知人で医療関係者でない方は推奨されるが、医学教育に何らかの関心があることが望ましい。④一定の有識者相当も必要であろう。⑤公共交通機関やインフラの関係者、「公共」という視点に立てる方は入れておきたい。⑥現在本人が闘病中、もしくは家族も含め過去の経験からも特定の病気や医療者に強い感情を持つ方、患者視点の強い方は除く。 彼らに対し、医学教育に関する共通理解を図るために、まず模擬患者(SP)やOSCEについてキーレクチャーを行った。その上で予備実験に相当するフォーカスグループインタビュー(FGI)を施行した。この結果トライアルメンバーの属性、バランスは良好であると判断され、当面このメンバーでFGIを繰り返し、半構造化インタビューの質問項目のブラッシュアップ、医学教育に参画するのに必要な一般市民養成講座のプログラム作成を進めることとした。その後に、トライアルメンバーから派生した次段階候補者の選抜を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般市民の本研究へのリクルート開始と、COVID-19感染拡大が重なり大きな遅れが生じた。まず、研究者側は医療人でもあり、自施設における対応に追われていた。さらに普段、医療と関わりを持たず、その必要も無い一般市民にこの状況下で研究に参加頂くこと、さらにCOVID-19禍という特殊な要素の影響を観念上排除した上で研究に参加して頂くことは困難であると考えた。一方で、感染拡大には波があり、収束の目途も立たないため年度末の3月にトライアル会合を開くこととした。すでにこの1年で常態化したWeb会議でこれを行うこととし、参加者の負担も軽減されている。また、Web会議形式でも十分な成果が得られることも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に参加頂く市民、すなわち被験者に相当する方々について、今回のトライアル参加者をまずコアメンバーとし、その方々を中心とした2次メンバーを編成することで現在の6名から6×6の36名に対象者を増やすことを考える。また、この1年で一般市民も含め認知度が向上したWeb会議形式をフルに活用し、意図的に参加者から見た敷居を低くしたサロン形式の会議室を設け、効率的にデータ収集を行い研究の遅れを取り戻す。今年度中に、本研究の意図する「一般市民」のリクルート法と、「一般市民」の教育参画のための養成プログラムの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
謝金の発生するインタビュー調査がまだ行えなかった。これについてはWeb会議システムの利用法を工夫し、活性化を図る。また、対面での講習会開催も当面難しいと考えられ、実施を控えていたが、感染対策のノウハウもある程度蓄積されて来たことも踏まえ、実施を試みる。最終的には医学教育におけるPPIガイドブックの作成を目指しており、その作成を前倒しで始める。学会発表、成果発表が行われていないため、今年度末をめどにこれを重点課題として進めていく。
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