2021 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞形質転換に起因した非アルコール性脂肪性肝炎発症と予防の分子メカニズム解明
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19K10583
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北森 一哉 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (80387597)
内藤 久雄 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (90547556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / 降圧剤 / メカニズム / トリグリセリド / コレステロール / 高血圧 / 脂質の恒常性 / 胆汁酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症や進展には脂肪や胆汁酸の蓄積が重要な役割を果たす。先行研究によって、降圧剤のヒドララジンはSHR(高血圧)ラットの血圧を改善すると同時に高脂肪食(HFC)による脂肪蓄積を抑制することが明らかとなった。この研究では脂質恒常性や代謝(胆汁酸合成・排泄)に関わる分子種の遺伝子解析をし、降圧剤介入によって肝臓の脂質・胆汁酸蓄積の予防のメカニズムを明らかにする。まずSHRラットにHFC食あるいは降圧剤を2週間および8週間投与して麻酔下で解剖した。ヒドララジンはコントロールラット(高血圧ラット)の血圧を改善し、脂質の恒常性に関わるPPARα、コレステロールの代謝(胆汁酸合成)に関わるShp、胆汁酸の排泄に関わるPxr、アポトーシス調節因子のBaxの遺伝子発現を増大させた。一方、HFC食はコレステロールの調節因子LXRαとアポトーシス調節因子のBaxの発現量を増大させた。また、胆汁酸の排泄に関わるPxrの発現は低下させた。しかし、ヒドララジンはHFC食によるLxraやBaxの発現増大やPxrの低下に影響を与えることが無かった。これらの結果は、降圧剤はPPARαを活性化して高血圧時の脂質(特にトリグリセライド)を軽減するが、高脂肪食(HFC)でもたらされる降圧剤の脂質の改善は軽微であり、高脂肪食でもたらされるLxra、PxrやBaxの遺伝子発現に変化には影響を与えることがないことを示す。ヒドララジンがPPARαのアゴニストであることは本研究で初めて明らかにされた。
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