2019 Fiscal Year Research-status Report
メンデルランダム化による生活習慣と疾病リスクの関連:ゲノムコホート研究での検討
Project/Area Number |
19K10659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若井 建志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50270989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 恵太郎 愛知県がんセンター(研究所), がん予防研究分野, 分野長 (80393122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メンデルランダム化 / 生活習慣 / ゲノムワイド関連解析 / 飲酒 / 喫煙 / 食事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はメンデルランダム化(MR)解析を実施する際の操作変数となる、生活習慣と関連する遺伝要因を検討するため、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した。 飲酒・喫煙習慣については、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC研究)からの約14,000名、愛知県がんセンターで実施されたHERPACC研究の非がん者約3,000名を対象に、GWASメタ解析を実施した。飲酒に関しては、常習飲酒の有無に関する検討を行った。既報の12番染色体のALDH2領域、4番染色体のADH遺伝子群の領域に関連を認めたが、新規の遺伝子座は認められなかった。喫煙に関しては、有意な関連遺伝子座を認めなかった。ALDH2やADH1B多型は、がんリスクに対しては遺伝子環境要因交互作用を持つことが知られ、MRの前提が満たされないため、がんに対するMR解析は難しいと考える。喫煙に関するMR解析はさらに検討が必要と考えられる。 食習慣については、J-MICC研究参加者 約14,000名を対象として、野菜および果物摂取量のGWASを行った。このうち果物摂取量については、男性において12番染色体短腕領域に多量摂取(上位20%)との間にゲノムワイド有意(P < 5 x 10-8)な関連を持つ一塩基多型(SNP)が同定された。このSNPはALDH2のrs671多型と連鎖不平衡にはなく、関連は飲酒習慣と独立であった。他にはsuggestive(P < 1 x 10-5)な関連を示す座位が10カ所認められた。野菜摂取量についてはゲノムワイド有意な関連は同定されず、suggestiveな関連を示す座位が7カ所みられた。以上の座位について、別集団での再現性検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノムワイド関連解析の操作変数となる、生活習慣と関連する遺伝要因の新たな同定に至らなかったため。食習慣についての検討で認められた候補SNPについて、再現性の検討まで到達できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き生活習慣と関連する遺伝多型を、J-MICC研究参加者のうち約14,000名について、ベースライン調査により得られた生活習慣データとGWAS用タイピングデータを用い、GWASにより分析する。関連するSNPなどが報告されている生活習慣に関しては、候補多型についての解析も併用する。また複数多型の組み合わせによる生活習慣予測も試みる。既存のGWAS用タイピングデータ、または上記の分析に含まれなかった研究参加者のデータおよびDNA試料を用い、GWASにより見いだされた遺伝多型と生活習慣との関連の再現性を検証する。 さらに生活習慣に影響を及ぼす遺伝要因の網羅的探索により得られた、あるいは既知の生活習慣と関連する遺伝多型(複数の組み合わせも含む)と、疾病リスク、病態との関連を、J- MICC研究参加者において検討(MR解析)することにより、生活習慣と疾病、病態との関連を、交絡要因や因果の逆転の影響を最小限にして検討する。まず生活習慣と関連するSNPと、J-MICC研究ベースライン調査による健診データ、既往歴データとの関連を横断研究により検討する。さらに生活習慣と関連するSNPと全死亡および死因別死亡、がんなど疾病罹患との関連をコホート研究により検討することを試みる。 今年度の研究がやや遅れたことから、予算計上していた論文出版に係る英文校正費、論文掲載料が残り、次年度使用額が生じた。今後、論文が完成次第、この使用額を支出する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究がやや遅れたことから、予算計上していた論文出版に係る英文校正費、論文掲載料が残り、次年度使用額が生じた。今後、論文が完成次第、この使用額を支出する。
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Research Products
(3 results)