2019 Fiscal Year Research-status Report

北海道の道央圏外の看護管理者のための継続学習ネットワーク構築と効果検証

Research Project

Project/Area Number	19K10710
Research Institution	Sapporo City University
Principal Investigator	矢野祐美子札幌市立大学, 看護学部, 講師 (80335398)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	看護管理者 / 継続学習 / 地域社会ネットワーク
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は、北海道の道央圏外において看護管理者のための継続学習ネットワークを構築することが、当該地域の医療や看護の課題解決に影響を与えることができるか検証することである。北海道は広大な土地を有し、地域によって医療資源の偏在がみられる。病院が広範囲にわたる地域の人々の健康を守る拠点としての役割を担っており、病院の機能を支え、医療や看護の質を担保し、地域連携の要としての役割を果たす看護管理者は非常に重要である。看護管理者が効果的に役割を発揮するには、看護管理に必要な情報の取得と継続学習が不可欠であるにも関わらず、物理的距離が大きい地域における継続学習の機会には格差と困難がある。地域の状況に合った継続学習体制を構築し評価することで、これら医療過疎地域の看護管理者支援へ結びつけることが可能となると考える。初年度の目標として、北海道の道央圏外における看護管理者の継続学習の実態とニーズの探索、先駆的な看護管理者の継続学習ネットワークの発展プロセスとアウトカムの解明の2つを挙げ、道央圏外の看護管理者の継続教育の実態とニーズに関する2つの研究を行った。一つ目は看護師長を対象としたインタビュー調査で、看護師長たちが看護管理に関する学習をどのように行っているのか、またどのようなニーズを持っているのかを把握するために行った。二つ目は看護部長などの上級看護管理者を対象とした継続学習の実態と学習ニーズについてのインタビュー調査である。看護師長を経て、看護部長に昇格した上級看護管理者は、第一線の問題解決に果敢に取り組んだ経験をもつ。これらの上級看護管理者たちが、どのような継続学習を行ってきたのか、看護師長クラスの継続学習についてどのような学習ニーズを持っているのかを知るために行った。二つの研究から、看護管理者のための継続学習ネットワーク構築への示唆を得ることができた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 道央圏外の看護管理者の継続教育の実態とニーズに関する2つの質的記述的研究（インタビュー調査）を行った。最終的に予定より多くの方から研究協力が得られたため、調査（インタビィー）と分析に多くの時間を要した。経過の詳細：研究計画書のリクルート方法に従い、看護協会支部長に対象者紹介の依頼を行った。対象とする道央圏以外の地域には看護協会の支部が11あるが、研究者による支部の選出を避け、11全ての支部長に同時に依頼を行ったところ、複数の支部長から協力への承諾と対象者紹介が得られた。紹介頂いた対象者からどの程度研究協力が得られるのか見通しがつかなかったこと、紹介の労をとって頂いたのに研究依頼をしないのは、支部長と被紹介者の関係に影響することを考え、紹介を受けた対象者全てに研究協力の依頼を行った。当初10名程度の対象者を想定していたが、結果的に23名の方から研究協力への承諾が得られた。承諾を得られた対象者を選定基準に照らして逸脱が無いか検討したところ、職位に偏りがなく、研究に支障をきたさないと考え、そのまま研究を実施した。
Strategy for Future Research Activity	研究は、北海道の道央圏外の地域における看護管理者の支援モデル：継続学習のためのネットワークの構築段階に進む。研究を推進させるため、これまで同様に適宜専門家にアドバイスを受けることで実施計画を洗練させていく。研究の実施に際する課題として、新型コロナウイルス感染症拡大による影響がある。本研究の対象者は病院の機能を支え、医療や看護の質を担保し、地域連携の要としての役割を果たす看護管理者である。臨床現場の状況によっては、研究協力を得ることが難しいため、状況に応じて研究時期や対象者数などの調整を行うものとする。
Causes of Carryover	本研究は計画段階で4つの目標を掲げた。今年度は目標の1つ目である、北海道の道央圏外における看護管理者の継続学習の実態とニーズの探索に着手した。道央圏外の看護管理者の継続教育の実態とニーズに関する2つの質的記述的研究（インタビュー調査）を行ったが、最終的に予定より多くの方から研究協力が得られたため、調査と分析に多くの時間を要した。そのため、研究の進行にやや遅れが生じており、助成金の使用計画を修正するに至った。次年度は看護管理者の継続学習を支援するモデルを開発する予定であるが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にあり、現地への移動が制限される可能性がある。遠隔での意見交換実施など研究計画の修正に応じて、旅費を物品費へ変更する予定である。