2020 Fiscal Year Research-status Report
倫理調整における精神看護専門看護師の倫理的意思決定過程
Project/Area Number |
19K10745
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
遠藤 太 岩手医科大学, 看護学部, 教授 (20404882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 寛明 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00347189)
末安 民生 岩手医科大学, 看護学部, 教授 (70276872)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 精神看護専門看護師 / 倫理調整 / SCAT分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
A.具体的内容:精神看護専門看護師(協議の精神科専門看護師及びリエゾン精神専門看護師)に対するインタビューを実施した。そのうち3名は、精神看護専門看護師歴が1~2年と少なく、「倫理調整」経験も少ないため、実際に調整を行う際に多くの困難に直面している。そこで、経験年数の少ない精神看護専門看護師3名の倫理調整に焦点を当て、何に困難を感じ、どう乗り越えようとしているかを知り、倫理的意思決定の発展過程を明らかにするための分析を実施した。B.分析方法:分析にはSCAT(大谷2008)による質的記述的分析法を用い以下の手順を踏んだ。①インタビューデータをセグメント化する②データの中の着目すべき語句を記入する③それを言いかえるためのデータ外の語句を記入する④それを説明するための概念や語句を記入する⑤そこから浮き上がるテーマ・構成概念の順にコードを考案して付していく⑥ストーリー・ラインと理論を記述するC:語られた倫理的問題状況:語られた事例は、「慢性腎不全でシャント増設済みだが、食事・水分のコントロール不良で何度も救急搬送、家族がもう限界。本人も透析はしないという場面」などで、テクストより抽出された構成概念は128概念となった。D.現時点でのまとめ:1.経験の少ないCNSの倫理調整における思いは【しなければならないという捉われ】と【役割への葛藤】2.倫理調整における葛藤は【スタッフとCNSの乖離】【医師との乖離】があり、その中で【権威あるものとの間の葛藤】【精神障がい者とそのケアへの無理解との葛藤】【排他的なセクショナリズムとの葛藤】【暗黙の了解としてのルールとの葛藤】を経験していた。3.倫理調整における判断と対処は【脅かさない関係づくり】【主役を保証する】で安心・安全感を保証し、【ロールモデルとなる】【価値・考え方の提示】【協働の土台づくり】を行っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大を受け、学生の臨床実習が学内を中心とした内容に切り替わる中、新たな取り組みを行うことにより研究者自身が非常に繁忙となっていることが大きな理由となる。また、研究者間での情報共有の時間も十分確保できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
分析過程において、質的研究に精通した研究協力者からスーパービジョンを受け、また必要な場合は議論しながら導出された概念の妥当性を高めていく。そのために、新型コロナ感染拡大の影響を最小限にすべく、web環境を利用した研究者会議を積極的に実施していく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大により、学会参加のための旅費等の支出が繰り越され、次年度使用額が生じたと考えられる。今後も感染の拡大はしばらく継続されることが予測されるため、その代替手段として、web、書籍を中心とした研究のための準備を行うための費用として繰り入れていきたいと考えている。
|