2019 Fiscal Year Research-status Report
エコーを用いた褥瘡の肉芽組織の客観的評価方法の確立と自動判別システムの構築
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19K10765
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
四谷 淳子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10507370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 将之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (00613374)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 褥瘡 / DESING-R / エコー / 肉芽組織 / 病理組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡状態を評価するスケールとしてDESIGN-Rが広く使用されている.6つある評価項目の1つに肉芽組織の評価があり,創面を占める良性肉芽の割合で点数化されている.他の5項目が客観的な評価が可能である一方,肉芽が良性か不良かの鑑別は明確な判断基準がなく主観的でしばしば観察者により評価が分かれてしまう.そこで本研究の目的は,看護師が客観的評価にもとづいたケアを行うために,エコーを用いて肉芽組織の状態を良性か不良かを定量的評価による分類を行ない,簡便に判別できるアセスメントシステムを確立することを目指すことである. 本研究では,手術の際に病理組織検査に用いられた慢性創傷の検体を用い,免疫染色,特殊染色により肉芽組織を構成する細胞成分およびマトリックスの性状を明らかにする.これらを臨床写真,DESIGN-Rの評価と照合し,各種肉芽組織の硬さおよび,弾力層の厚さを定量化する.これにより,エコーで各種肉芽組織がどのように観察されるか推測可能となる.次に,実際の褥瘡患者において,肉眼的所見および触診による所見と実際に得られたエコー画像による所見から,肉芽組織の特徴を明らかにし体系化し,エコー画像から特徴量を抽出し定量評価による分類と各所見との関係を検証する.外力に起因する不良肉芽に対しては看護ケアを行うことで良性肉芽化を目指し,この経過をエコーによりアセスメントし,看護ケアの妥当性評価だけでなく,新たなアセスメントシステムの開発を目指している. 本年度は,病理組織を良性肉芽と不良肉芽に分類した。また、これまでの褥瘡エコー画像から肉芽組織の状態を良性肉芽と不良肉芽の分類を読影の専門家のスーパーバイズを受け、研究者の判別との整合性の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は,病理組織所見,肉眼的所見および触診による所見,エコー画像による所見から肉芽組織の特徴を明らかにし体系化する予定であった。しかし,深い褥瘡を保有する対象者数が少なく肉眼的所見や触診による所見と病理組織所見との比較を行うことが出来なかった。そのため,予定を変更し,病理組織所見を良性肉芽,不良肉芽に分類することを行った。さらに,これまで撮影したエコー画像を良性肉芽と不良肉芽に分類し,エコー画像の読影に精通した超音波技師による判別との整合性の確認を行った。分類したエコー画像は,次年度の研究で予定している機械学習を用いたエコー画像解析に活用予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
褥瘡を保有する方を対象に,褥瘡ケア時に肉眼的所見及び触診(肉芽の硬さ)による所見を記載し特徴を抽出。超音波診断装置リニア型高周波プローブ(14MHz)を用いて,褥瘡部のエコー画像を描出する。エコー画像から特徴を抽出,記載し,これを病理組織学的検討から得られた所見と統合しデータ化する。手術予定の症例を観察する機会を得た場合は,病理組織学的評価を行い,実際のエコー画像との照合を行い,精度の向上を図る。
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Causes of Carryover |
本年度は,病理組織所見についてこれまでの染色された組織所見を分類しており,あらたな染色を実施していないため,次年度使用額が生じた。次年度は,免疫染色など行う予定であり,試薬などに使用する.また,エコー所見も臨床にて撮影予定であるため,そのための物品費で使用する予定である。
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