2020 Fiscal Year Research-status Report
児童・思春期ケアに活かす看護師のための情動知性の育成モデルの評価
Project/Area Number |
19K10857
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
大森 眞澄 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20437552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 照子 島根県立大学, 看護栄養学部, 教授 (40280127)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 思春期ケア / 情動知性 / グループアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】児童・思春期の子どもをケアする特別支援教育に携わる教諭の情動知性が、DVDの視聴とグループ・ディスカッションを用いたプログラムを実践することで、どのように発達するのか、アクション・リサーチの手法を用いて質的記述的および量的に解明することを2020年度の目的とした。 【方法】同意の得られた特別支援教育に携わる教諭5名を対象に1回90分、2週間に1回、全3回のセッションに参加してもらった。研究者作成オリジナルDVD「子どもにハグを求められる」「子どもにアゲアシをとられる」「子どもとぶつかる」を視聴してもらい、その後グループ・ディスカッションをおこない、アクション・リサーチの手法を用いて質的データを収集するとともに、初回と最終回のセッションの前後で情動知性尺度を含む質問紙調査を実施した。 【結果】研究に参加した5名の教諭は、男性1名と女性4名であり、年齢は30歳代から50歳代、10年以上の教育経験を有していた。感情知性の下位尺度「自己対応」「対人対応」「状況対応」の3つの得点が全て向上した者は5名中2名だった。また、「自己対応」「状況対応」のいずれかまたは両方の得点が向上したものが2名、1名は変化が無かった。情動知性が向上した者は、自身の体験と今現在の教諭としてのあり様をすり合わせて語ることができた。DVD視聴後のグループ・ディスカッションでは、愛着形成に乏しい子どもの粗暴行為の背景には、子ども自身が傷つく前に他者を攻撃してしまうという思春期態勢への解釈が加えられ、教諭自らの思春期の感情体験が自由に語られていた。思春期の児との関わりを振り返り、集団にコミットした状態で感情を語ることが情動知性の育成に有効であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
看護学科長業務に加え、新型コロナ感染症対策のため、集団によるデータ収集が難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
思春期の子どもをケアする児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師を対象に全3回のセッションを実施し、情動知性が、DVDの視聴とグループ・ディスカッションを用いたプログラムを実践することで、どのように発達するのか、アクション・リサーチの手法を用いて質的記述的および量的に解明する。対象施設はすでに選定済みである。また、今年度は、学会発表や論文作成に取り組む準備を早急に行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施できなかった、看護師を対象とした実践研究を2021年度に遂行する。学会誌への投稿や国際発表を行うための準備を行う。
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