2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症を背景にもつひきこもりにある者への支援モデルの構築
Project/Area Number |
19K10915
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
関根 正 獨協医科大学, 看護学部, 教授 (20404931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ひきこもり支援 / 自閉スペクトラム症 / 支援モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、思春期から成人期にある自閉スペクトラム症を背景にもつひきこもりにある者を対象に、ひきこもり・不登校親の会(親の会)の訪問援助として研究代表者が作成した介入プログラムを実施し、その有用性の検討を通じて支援モデルを構築することである。 2020年度は3年計画の2年目として、B氏およびC氏に対して訪問援助を実施する計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、自宅訪問が困難な状況となった。そのため、訪問援助の実施を見送り、延期とした。しかし、月1回の支援会議はオンラインで継続して行い、情報交換や共有、訪問援助や介入プログラムの実施方法についての検討を重ねた。その結果、オンラインでのリモート支援についての可能性を見出すことができ、試験的にB氏の母親に対するリモート支援を行った。 結果として、以下のことが示唆された。子どものひきこもりのから現在の生活に至るまでの家族の体験として、親は生活のために仕事を継続していたが、このことが≪社会とのつながりの維持≫という社会的助勢となり、≪親の会との新たなつながり≫および≪医療との新たなつながり≫という社会的助勢の獲得につながっていた。また、親族や友人家族に家族として救われており、≪他者とのつながりの維持≫という社会的助勢となっていた。さらに、≪他者とのつながりの維持≫は、B氏にとっては親以外の大人との関わりという意義に発展していることから、『同性の大人のモデルの存在』へと続く径路になっていた。4つの社会的助勢は、親にとっては本人と関わる際の道しるべとなり、同時に、親自身を支える心の拠り所ともなり、『親としての関わり方の変化』へと続く径路を導いていた。 今後は、この結果を詳細に分析するととも2019年度の実績を研究論文としてまとめていく。また、本人に対するリモート支援の可能性についても検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、自宅への訪問が困難な状況となった。そのため、2020年度は訪問援助の実施を見送り、延期としたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に実施する計画であったB氏およびC氏に対する訪問援助を実施する計画であり、その準備は整っている。新型コロナウイルス感染症の拡大状況を見極めながら、実施していく。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、訪問援助の実施が困難になることも推測される。現在、B氏およびC氏の母親とリモート支援を実施していることから、B氏およびC氏に対してもリモート支援の実施も視野に入れて検討し、実施に向けて調整していく。 また、いままでの研究成果を論文化し、研究者が所属する保健医療系の学術誌へ投稿し、公表していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、訪問援助の実施を見送った。そのため、交通費やデータ入力手数料等のその他の執行計画に変更が生じたため。 2021年度は、B氏およびC氏に対する訪問援助を実施する予定であり、それに応じて予算を執行する予定である。
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